「借地権割合は、どうやって調べればいいのだろう」
相続や売却で借地権を扱うとき、こうした疑問に直面する方は少なくありません。
借地権割合は、相続税の計算や売却価格の目安を左右する重要な数値です。
この記事では、路線価方式と倍率方式それぞれの調べ方を計算方法まで含めて解説します。
- 借地権割合を調べる方法
- 路線価図の見方
- 路線価の計算方法
借地権割合とは
借地権割合とは、土地全体の価値に対して、借地権がどれだけの割合を占めるかを示した数値です。
前提として、ひとつの土地に建物を建てて他人に貸すとその土地には2つの権利が生じます。
土地を利用する借地人の「借地権」と、土地を所有する地主の「底地権」です。
2つの権利はひとつの土地の上で重なり合っており、土地全体の価値を100としたとき、借地権が占める部分が借地権割合にあたります。
残りが地主側の底地割合で、借地権割合が70%の土地なら底地割合は30%です。
借地権割合は、国税庁が地域ごとに30%から90%の範囲で定めています。
路線価図ではA〜Gの記号で示され、それぞれA:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30%に対応します。
割合は土地の利用価値を反映するため、地域によって異なります。
商業地や都市部、交通の便が良い地域ほど高くなる傾向があり、東京の商業地では80〜90%、住宅地では60〜70%程度、郊外や地方では低くなります。
この数値が主に使われるのは、相続税や贈与税の計算です。
借地権は財産的な価値を持つ権利のため、相続や贈与で引き継ぐ際に、評価額の算出で借地権割合が必要になります。
ここで注意したいのは、借地権割合が税務上の評価基準であって、売買価格をそのまま決める数値ではないという点です。
借地権割合で計算した金額と市場で実際に売買される価格との間には、大きな差が生じることも珍しくありません。
売却価格はあくまで目安であり、実際の取引では地主との関係や契約条件にも左右されます。
借地権割合を調べる方法
借地権割合を調べる方法は、土地の所在地によって「路線価方式」と「倍率方式」の2つに分かれます。
都市部や主要な地域では路線価方式が採用されており、路線価が設定されていない地域では倍率方式を使います。
路線価方式での調べ方
路線価方式とは、道路ごとに設定された「路線価」を使って土地の評価額を求める方法です。
路線価図とは、主要な道路ごとに設定された1平方メートル当たりの土地の評価額(路線価)が記載された地図で、相続税や贈与税の評価額の基準になります。
路線価は毎年1月1日を基準日として定められ、その年の7月1日に公表されるため相続や贈与が発生した年の路線価図を使うことが重要です。
国税庁のWebサイトにある「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」から調べます。
手順は次のとおりです。
まず上記サイトへアクセスし、調べたい土地がある都道府県を選択します。
次に「路線価図」をクリックし、市区町村・地名を選んで対象地が含まれる路線価図を表示します。
地図の中から調べたい土地に接している道路を探し、道路上に記載された数字と記号を確認します。
路線価図を開くと道路の線上に「300C」「200D」といった表記が並んでいます。
先頭の数字が路線価で、単位は「1,000円/平方メートル」です。
「200D」と記載がある場合、その道路に面する土地の1平方メートル当たりの評価額は20万円になります。
数字に続く記号(A〜G)が借地権割合を示しています。
- A:90%
- B:80%
- C:70%
- D:60%
- E:50%
- F:40%
- G:30%
たとえば「300C」であれば、1平方メートル当たりの評価額が30万円、借地権割合は70%ということになります。
記号の記載がない場合は、借地権の取引慣行がないと認められる地域であり、借地権の評価をしないとされています。
ただし、借地権そのものが存在しないわけではないため注意が必要です。
倍率方式での調べ方
倍率方式とは、固定資産税評価額に国税庁が定めた倍率を乗じて土地の相続税評価額を算出する方法です。
主に郊外や取引の少ない地域で利用されます。
調べ方自体はシンプルですが、評価額を出すには固定資産税評価額が必要になる点に注意が必要です。
路線価方式と同じく、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のページから調べます。
都道府県を選択後、「評価倍率表」をクリックし、該当する市区町村・地目(宅地・田・畑など)を選ぶと倍率表が表示されます。
倍率表には「借地権割合」の欄が設けられており、記載されたパーセンテージが対象地の借地権割合です。
なお、倍率表で「借地権割合」の欄が「-」となっている場合は、路線価方式の地域と同様に借地権の取引慣行がない地域とみなされます。
倍率方式で計算するには、固定資産税評価額を別途確認する必要があります。
固定資産税評価額は、毎年4月もしくは6月に届く固定資産税の納税通知書に記載されています。
対象地の評価証明書を取得して確認することもできます。
評価証明書は、土地が所在する市区町村の窓口(東京23区の場合は都税事務所)で取得できます。
所有者本人であれば申請が可能です。
相続の場合は、被相続人の死亡が確認できる書類と、相続人であることを証明する書類を持参することで取得できます。
借地権割合を使った評価額の計算方法
借地権割合が確認できたら、借地権割合を使って借地権の相続税評価額を計算します。
計算方法は路線価方式と倍率方式で異なります。
路線価方式による計算
路線価方式の場合、まず自用地としての評価額(更地として評価した場合の金額)を求め、そこに借地権割合を掛けます。
計算式は「自用地評価額 × 借地権割合 = 借地権の相続税評価額」です。
自用地評価額は、路線価(円/㎡)に土地の面積を掛けて求めます。
土地の形状や間口・奥行きなどによって補正が必要な場合もありますが、基本的な計算では路線価×面積が自用地評価額になります。
具体例として、路線価が「200C」(1㎡あたり20万円)、土地面積が100㎡の場合を考えます。
自用地評価額は200,000円×100㎡=2,000万円です。
借地権割合Cは70%なので、借地権の評価額は2,000万円×70%=1,400万円となります。
倍率方式による計算
倍率方式の計算式は「固定資産税評価額 × 倍率 = 自用地評価額」で、自用地評価額に借地権割合を掛けることで借地権の相続税評価額が求められます。
計算には、前章で説明した固定資産税評価額を使います。
たとえば固定資産税評価額が5,000万円、倍率が1.2倍、借地権割合が50%の場合、自用地評価額は5,000万円×1.2=6,000万円となり、借地権の評価額は6,000万円×50%=3,000万円です。
計算時の注意点
ここで求めた金額は、あくまで相続税や贈与税の計算に使う税務上の評価額なので実際の売却価格とは異なります。
また、土地の形状や接道状況による補正、貸家が建っている場合の調整など、実際の申告ではより複雑な計算が必要になるケースもあります。
正確な評価額は、税理士など専門家に確認することをおすすめします。
借地権割合と売買価格の関係
借地権割合で計算した評価額は、あくまで相続税や贈与税の計算に使うための数値です。
実際に借地権を売買するときの市場価格(時価)とは別物であり、両者の間には驚くほど大きな差が生まれるケースも少なくありません。
差が生まれるのは、売買価格が税務評価には現れない多くの要素に左右されるためです。
実際の売買価格は、地主との関係性、残存契約期間、地代の水準、立地条件、買い手の需要などによって変動します。
そのため、路線価図の記号(A〜G)から計算した数値と一致するとは限りません。
特に、借地権を単独で売却する場合は、更地の実勢価格に借地権割合を乗じた金額よりも安く取引されることが多くなります。
借地権の売却には地主の承諾が必要で、買い手が限定されやすいためです。
承諾料が発生したり、地主との交渉が難航したりすることも、価格が下がる要因になります。
借地権割合は、売買価格を考えるうえでの出発点にはなりますが、それだけで時価が決まるわけではありません。
売却を具体的に検討する段階では、借地権の取り扱いに精通した専門家に相談し、実態に近い価格の目安を把握することが大切です。
まとめ
借地権割合は、国税庁の路線価図または評価倍率表から調べられます。
路線価が設定されている地域では、路線価図の記号(A〜G)を確認します。
設定されていない地域では、評価倍率表の「借地権割合」欄を参照します。
調べた割合に自用地評価額を掛けることで、相続税申告に必要な借地権の評価額を計算できます。
ただし、計算した評価額は税務上の数値であり、実際の売買価格とは異なる点を必ず押さえておいてください。
相続や売却の手続きを進める際は、計算結果を参考にしつつ、税理士や不動産の専門家に確認を取りましょう。



