長屋を所有しているものの、いざ売ろうとして、どう進めればよいか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
長屋は一般的な戸建てや土地に比べ、売却が難しいといわれています。
隣家と建物がつながっているという構造上の特徴が、売りにくさの大きな要因です。
本記事では、長屋が売れにくい根本的な理由と、状況別の売却方法をわかりやすく解説します。
- 長屋が売れにくい理由
- 長屋が売れないときの売却方法
長屋とは
長屋とは、2戸以上の住宅が1棟に連なり、隣家と壁(界壁)を共有している建物のことです。
建築基準法上の正式な用語であり、最近の不動産広告でよく目にする「テラスハウス」や「タウンハウス」も、基本的にはこの長屋に分類されます。
最大の特徴は、各住戸が独立した玄関を持ちつつも、物理的には一つの大きな建物としてつながっている点です。
マンションのように共有の廊下や階段はありませんが、壁や柱、基礎、時には屋根までを隣家と共有しています。
江戸時代から都市住宅として普及した長屋は、大阪・東京・京都などの都市部を中心に現在も多く残っています。
長屋が売れない理由
長屋の売却が難しい背景には、金融・法律・権利関係という3つの構造的な問題が絡み合っています。
これらはいずれも一般の戸建てにはない、長屋特有の問題です。
住宅ローンの審査が通りにくい
長屋は購入希望者が住宅ローンを利用しにくい物件です。
古くて資産価値が低かったり、再建築不可など法的制約を抱えている可能性が高いため、金融機関から担保価値を低く見積もられがちです。
その結果、銀行のローン審査で融資対象にしてもらえないことも多くなります。
住宅ローンが使えないということは、購入できる人が現金一括で買える層に限定されることを意味します。
一般の住宅購入者の多くはローンを前提に予算を組んでいるため、そもそも長屋を選択肢に入れられません。
ローンに頼らず現金購入できる一部の買い手(投資家など)しか市場にいない状態になりやすく、これが買い手の絶対数を絞り込んでしまいます。
需要の母数が小さければ、売却に時間がかかるのは必然です。
再建築が困難
連棟式建物(長屋)は建築当時、建物全体で建築確認を受けています。
そのため一戸を再建築したい場合には、隣家の許可を受け、建物の切り離し手続きが必要です。
建築基準法では、都市計画区域内で建物を建設する場合、原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないという接道義務が定められており、切り離し後に接道義務を果たせなくなる可能性があります。
接道義務を満たせない土地には新しい建物を建てることができず、再建築不可物件となります。

再建築不可物件はリフォームしか手を加えられないという制約があり、購入後に建て替えや大規模な改築ができないとわかれば、買い手が購入を敬遠するのは自然なことです。
長屋のすべてが再建築不可に該当するわけではありませんが、可能性として存在するだけで買い手の不安材料となり、売却の妨げになります。
切り離しに隣家の同意が必要
長屋の一戸だけを売却・切り離す場合、隣接する住戸の所有者全員から同意を得ることが必要です。
壁・柱・基礎を共有している構造上、一戸に手を加えることが隣家にも物理的な影響を及ぼすためです。
この同意取得が現実には困難なケースが多く見られます。
隣家が相続によって複数の共有者間で所有されている場合、全員の合意を取りまとめることが必要になります。
連絡が取れない所有者がいたり、補償額をめぐる交渉が難航したりするトラブルも起きます。
単独での再建築や切り離しは困難であり、長屋の売却を妨げる要因となっています。
一般の買い手はこうした複雑な権利関係を嫌い、購入を見送ることが多いのが実情です。
長屋を保有するリスク
長屋を保有するリスクについて解説します。
固定資産税がかかり続ける
固定資産税は、売れない間も毎年発生します。
古い長屋であっても、土地に課される固定資産税の負担は変わりません。
活用も売却もできないまま、税金だけを払い続ける状態になりがちです。
空き家の劣化が進む
誰も住んでいない空き家は、建物の傷みが急速に進みます。
雨漏り・白アリ・腐食といった、管理を怠ることで生じる劣化はリフォーム費用を押し上げ、将来の売却価格をさらに引き下げます。
売れない期間が延びるほど、建物の価値は下がっていきます。
特定空家に指定されるとペナルティが科される
老朽化した長屋が「特定空家」に指定され、自治体の勧告に基づく改善を怠ると、固定資産税の住宅用地特例が解除されます。
これまで200平方メートルまでの敷地は課税標準額が6分の1に軽減されていましたが、特例が外れると固定資産税の負担が大きく増加します。
さらに、命令に違反すると50万円以下の過料が科され、行政代執行で解体された場合は解体費用も請求されます。

長屋を売却する方法
売却が難しいとされる長屋でも、状況に応じた方法を選べば売却は可能です。
隣家に購入を打診する
最も話が進みやすい相手は、隣接する住戸の所有者です。
隣家にとって、隣り合う住戸を買い取ることには、同じ建物の持ち分を増やし、権利関係を整理できるという利点があります。
所有する範囲が広がれば、その後の建て替えや売却で主導権を握りやすくなります。
隣家自身も長屋の扱いに悩んでいるケースは多く、交渉の余地が生まれやすい相手です。
ただし、隣家に購入資金がない場合や現状維持を望んでいる場合には、話は進みません。
価格交渉で折り合いがつかないことも珍しくなく、交渉が長引けば関係が悪化するリスクもあります。
感情的な対立が絡むときは、不動産会社や弁護士など第三者を介して交渉を進めるのが現実的です。
一棟まとめて売却する
長屋を構成する住戸を一棟としてまとめ、建物全体を一括で売却する方法もあります。
個別の一戸ではなく建物全体の所有権をまとめて移転させるため、切り離しや接道義務の問題が解消され、買い手にとってのリスクが下がります。
その分、買い手が見つかりやすく、価格も付きやすくなります。
一棟売却を実現するには、長屋を構成するすべての住戸の所有者が売却に合意することが前提です。
所有者が複数いる場合、全員の意思をまとめるのは容易ではなく、一人でも反対すれば成立しません。
また、複数戸分の代金を一括で用意できる買い手に限られるため、買い手の層も狭くなります。
長屋全体の所有状況と各所有者の意向を事前に確認したうえで、実現できるかどうかを慎重に判断する必要があります。
訳あり物件専門の買取業者に売却する
住宅ローンが通りにくい、再建築不可の可能性がある、隣家との権利関係が複雑といった問題を抱えた長屋でも、訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば現況のまま買い取ってもらえる可能性があります。
一般の不動産会社への仲介依頼では、長屋は取り扱いを敬遠されるケースが少なくありません。
一方、訳あり物件専門の買取業者は再建築不可・築古・複雑な権利関係の物件を多く扱っており、長屋の特性を踏まえた査定が可能です。
リフォームや片付けが不要で現況のまま引き渡しができるため、所有者の手間とコストを最小限に抑えられます。
買い取りでは相場の6〜7割ほどの金額になるケースが一般的ですが、売れ残るリスクや維持費を考えると、メリットは大きいといえます。
隣家との同意取得が難しい状況や、できるだけ早く売却を完了させたい場合には、最も現実的な選択肢のひとつです。
まとめ
長屋が売れない理由は、住宅ローンの利用しにくさ・再建築の困難さ・切り離しの複雑さという、3つの構造的な問題に集約されます。
そのため一般的な不動産売却の方法では買い手が見つかりにくいケースもあります。
長屋を売るには、隣家への打診・一棟売却・買取業者への依頼という選択肢のなかから、自分の状況に合った方法を見極めましょう。
長屋の売却でお困りでしたら、訳あり物件買取専門のINTERIQへご相談ください。



