使い道に困っている物件は、思い切って売却して現金化するのもひとつの方法です。
ただし、物件によっては売却が難しいケースもあります。
その代表例が「瑕疵物件」です。
瑕疵物件は一般の物件より売却価格が下がりやすく、「どのくらいの値段で売れるのか」と不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では、瑕疵物件の定義や種類、瑕疵の種類別の売却価格相場、告知義務、そして少しでも高く売るためのポイントまでを解説します。
所有物件の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- 瑕疵物件の定義と4つの種類
- 瑕疵の種類別の売却価格相場
- 売却時に欠かせない告知義務のルール
- 契約不適合責任など売却時の注意点
- 瑕疵物件を少しでも高く売る方法
瑕疵物件とは?
瑕疵物件とは、本来備えているべき品質や性能に欠陥がある物件のことです。
状況によっては、訳あり物件や事故物件とも呼ばれます。
不動産における瑕疵は、主に次の4種類に分けられます。
・心理的瑕疵物件
・物理的瑕疵物件
・環境的瑕疵物件
・法律的瑕疵物件
それぞれの内容について、以下で詳しく解説します。
心理的瑕疵物件
心理的瑕疵物件とは、過去に起きた出来事により、買主や借主が住むことに抵抗を感じる物件です。
なかには、築年数が浅く、最新の設備が整っているケースもあります。主に、以下のような事象が該当します。
・自殺や殺人があった
・室内で事故死や孤独死が発生した
・墓地が隣接している
・ゴミ屋敷や暴力団事務所などの嫌悪施設が周辺にある
心理的瑕疵の感じ方は人によって異なるため、明確な基準はありません。
ただし、売主や不動産業者が事実を知りながら説明を怠った場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。
物理的瑕疵物件
物理的瑕疵物件とは、建物や土地に物理的な欠陥がある物件を指します。
物理的瑕疵は、建物に関するものと土地に関するものに大別されます。
建物に関する瑕疵の具体例は、以下のとおりです。
- シロアリ被害
- 雨漏り
- 壁のヒビ割れ
- 床の傾き
- 電気配線の施工ミス
- 水道管の漏水
- アスベストを含む建材の使用
土地に関する瑕疵の具体例は、以下のとおりです。
- 化学物質による土壌汚染
- 地中に残された不発弾
- 自然災害による地形の変化
- 地盤沈下
不動産取引において、物理的瑕疵は不動産の安全性や資産価値に直接影響を及ぼします。
そのため、売却時には事前の調査と、買主への正確な情報開示が不可欠です。
開示を怠ると、契約後に重大なトラブルへ発展する可能性があります。
なお、日常生活で発生した床の傷や建物の摩耗は、物理的瑕疵には含まれません。
環境的瑕疵物件
環境的瑕疵物件とは、物件自体に問題があるのではなく、物件の周辺環境に起因する瑕疵のことです。
心理的瑕疵と混同されがちですが、環境的瑕疵は物件周辺の外的要因による問題であり、明確に区別されます。
具体的には、次のような事例が該当します。
- 悪臭(工場や下水処理場など)
- 騒音や振動(鉄道・幹線道路の近接など)
- 日照や眺望の阻害(高層建築物による影響)
- 近隣の嫌悪・迷惑施設(ごみ処理場、風俗施設など)
- 暴力団関係者による近隣居住
- 不法投棄が頻発する地域
- 特定宗教団体の施設の存在
- 空き家が多く治安に不安がある地域
環境的瑕疵も心理的瑕疵と同じく、どこからを問題と感じるかは人それぞれ異なります。
そのため、売買契約時に事前に説明されず、居住後に気づいてトラブルとなるケースもあります。
法律的瑕疵物件
法律的瑕疵物件とは、法律や条例による制限が原因で、自由な使用が制限されている不動産のことです。
建築当時は問題がなかった場合でも、法改正により後から法律的瑕疵物件に該当するケースもあります。
主な例は、以下のとおりです。
- 建ぺい率・容積率がオーバーしている
- 構造上の安全基準を満たしていない
- 接道義務を満たしていない(再建築不可物件)
- 火災報知器など法令で設置が義務づけられた設備が未設置、または老朽化で機能していない
法律的瑕疵がある物件は、違法建築とみなされる可能性があり、売買にあたっては慎重な対応が求められます。
とくに重要なのが告知義務です。
売却前に法律的瑕疵の存在を買主へ正確に伝えていなかった場合、契約後にトラブルとなり、契約不適合責任を問われるリスクが高まります。
瑕疵物件の売却価格相場
瑕疵物件でも売却は可能ですが、一般的な物件に比べて売却価格は下がりやすい傾向にあります。
どの程度下がるかは、瑕疵の種類や内容によって異なります。
瑕疵の種類ごとの売却価格の相場は、以下のとおりです。
- 物理的瑕疵:市場価格の約70〜80%
- 法律的瑕疵:市場価格の約50%
- 心理的瑕疵:市場価格の約50〜90%
- 環境的瑕疵:市場価格の約70〜80%
物理的瑕疵は、雨漏りなど補修で解消できるものも多く、あらかじめ修繕しておくことで価格の下落を和らげられます。
逆に、放置したまま売却すると、買主が補修費用を見込んで値引きを求めるため、下落幅が大きくなりやすい点に注意が必要です。
法律的瑕疵は、4種類のなかでもっとも下落幅が大きくなりやすい瑕疵です。
再建築不可や違法建築は、買主の利用方法を大きく制限するためです。
ただし、是正できる瑕疵であれば、評価が大幅に下がるのを防げる場合もあります。
心理的瑕疵は、約50〜90%と幅が広く、下落幅は出来事の内容で大きく変わります。
孤独死など事件性の低いものは市場価格に近い価格で売れることもありますが、殺人や自殺など心理的抵抗の強いものは大きく下落します。
室内に汚損が残っている場合も、価格が下がる要因です。
環境的瑕疵は、周辺環境に起因するため、売主が状況を改善するのは困難です。
そのため、購入希望者が周辺環境をどの程度気にするかによって、価格が変動します。
瑕疵物件の告知義務について
瑕疵物件を売却する際に注意すべき重要なポイントのひとつが、告知義務です。
ここでは、告知義務の内容、期間、方法について解説します。
告知義務の内容
告知義務とは、売主が物件に関する重大な瑕疵を買主へ適切に伝える責任のことです。
壁紙の汚れや経年劣化など、日常生活に支障のない程度の瑕疵まで報告する必要はありません。
しかし、居住に支障をきたすような重大な瑕疵は、必ず事前に告知する必要があります。
具体的な告知対象の例は、以下のとおりです。
- 屋根の老朽化により雨漏りが発生している(物理的瑕疵)
- 過去に住人が殺人事件に巻き込まれて亡くなった経歴がある(心理的瑕疵)
- 近隣の飲食店から常に食べ物の臭いが漂っている(環境的瑕疵)
- 接道義務を満たしていないため再建築ができない(法律的瑕疵)
なお、義務とはされているものの、現行法に明確な告知の基準や期間が定められているわけではありません。
重要なのは、買主へ物件や周辺環境に関する正確な情報を提供し、理解を得たうえで契約を成立させることです。
告知義務の期間
瑕疵物件には、瑕疵の内容を買主へ伝える告知義務の期間に関するルールがあります。
賃貸契約の場合は、前の入居者が死亡してから3年以内であれば告知が必要とされています。
一方で、売買契約には明確な期限がなく、3年を経過しても告知義務が残る点に注意が必要です。
売買契約は取引金額が大きく、引き渡し後に重大な瑕疵が判明すると、買主に深刻な損害を与えることがあるためです。
たとえ前の居住者の死亡から10年以上経過していても、事件性のある事案であれば、売主に告知義務が生じる可能性があります。
買主とのトラブルを未然に防ぐためにも、瑕疵の内容と告知の必要性を正しく理解して対応しましょう。
より詳細な基準を知りたい場合は、国土交通省が公表している「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を参考にしてください。
出典:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(国土交通省)
告知の方法
売却予定の不動産に瑕疵がある場合は、適切な方法で確実に告知しましょう。
告知の有無をめぐって「言った・言わない」の水掛け論になり、買主との関係悪化や長期の裁判に発展する可能性もあります。
トラブルを避けるためには、書面での告知が不可欠です。
さらに口頭でも補足することで、買主との信頼関係を築きやすくなります。
状況に応じて、物件広告や重要事項説明書、覚書を単独または組み合わせて活用しましょう。
瑕疵物件を売るときの注意点
瑕疵物件を売却する際は、告知義務のほかにも注意すべき点があります。
以下で、瑕疵物件を売るときの注意点を紹介します。
契約不適合責任を問われる可能性がある
瑕疵物件を売却する際は、契約不適合責任を問われないよう注意しましょう。
契約不適合責任とは、契約にもとづいて引き渡された目的物が契約内容と異なっていた場合に、売主が責任を負うルールです。
以下のいずれかに該当すると、契約不適合とみなされます。
- 目的物の種類が異なる
- 目的物の数量が不足・過剰である
- 目的物の品質が契約内容に満たない
契約不適合責任は、2020年4月の民法改正により、従来の瑕疵担保責任から変更されたものです。
契約不適合が認められた場合、買主から以下のような請求を受ける可能性があります。
- 補修や補足納品などの「追完請求」
- 相応の「代金減額請求」
- 重大な場合の「契約解除」
- 実損に対する「損害賠償請求」
ただし、瑕疵の内容をあらかじめ正確に伝えていれば、責任を回避できる場合がほとんどです。
そのため、告知義務は確実に果たす必要があります。
民法や関連制度は変更されることもあるため、定期的に法改正を確認しましょう。
こちらの記事では、瑕疵担保責任について解説しています。
改正後の契約不適合責任についても取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

高額での売却が難しい
瑕疵物件は、通常の不動産と比べて高額で売却するのが難しいのが実情です。
売却そのものが成立しにくいため、相場よりも価格を下げて販売せざるを得ないケースも多く見られます。
売却が成立しにくい原因は、瑕疵に対する買主の心理的・実質的な抵抗です。
物理的瑕疵は修繕である程度カバーできますが、心理的瑕疵は現状回復が難しく、買主の不安を払拭するのは容易ではありません。
とくに、心理的瑕疵が殺人や自殺、孤独死などに関係する場合、物件のイメージが著しく損なわれ、買主が見つかりにくくなる傾向が強まります。
瑕疵物件を少しでも高値で売却する方法
瑕疵物件は、購入希望者を見つけるのも容易ではなく、高値で売却するのはさらに困難です。
しかし、相場から大きく外れた二束三文で手放す状況は避けたいところです。
ここでは、瑕疵物件を少しでも高く売るための具体的な方法を紹介します。
瑕疵部分を解消する
価格の下落を抑えるうえで効果的なのが、可能な範囲で瑕疵を解消することです。
問題を取り除くことで、通常の物件と同じように売却できる可能性が高まり、価格の下落を最小限に抑えられます。
周辺環境に起因する環境的瑕疵は対応が難しいケースが多いものの、物理的瑕疵や心理的瑕疵は、売主の努力で軽減または解消できる場合があります。
たとえば、雨漏りや壁のヒビ割れといった物理的な問題は、補修工事で改善可能です。
心理的瑕疵がある場合でも、特殊清掃や室内のリフォームによって、購入希望者の不安を和らげられる可能性があります。
ただし、瑕疵の解消には一定の費用がかかるため、リターンを見越して予算とのバランスを検討しましょう。
更地にして売却する
建物を解体して更地にするのも、売却価格の下落を抑える有効な方法です。
建物に瑕疵があっても、土地そのものに問題がなければ、建物を取り壊すことで物件の価値を回復しやすくなります。
また、更地は利用目的の自由度が高いため、購入希望者が見つかりやすい点もメリットです。
ただし、解体には別途費用がかかるため、予算に余裕がない場合は慎重に検討しましょう。
期間をあける
心理的瑕疵がある物件は、一定の期間をおいてから売却することで、価格の下落を抑えられる場合があります。
自殺や殺人などの出来事がメディアで大きく報道された場合は、どれほど状況が改善されても、購入をためらう人が多くなります。
売却を急がないのであれば、時間をおいて市場の反応が落ち着くのを待つのが有効です。
状況によっては、より好条件で売却できる可能性があります。
ただし、期間をあけても心理的瑕疵の告知義務は残るため、必ず購入希望者へ正しく伝えましょう。
専門業者に買取を依頼する
早く瑕疵物件の売却を成立させたい場合は、専門業者への買取依頼がおすすめです。
迅速に買い取ってもらえるだけでなく、瑕疵物件の特性に応じた活用方法を提案してもらえる場合もあります。
仲介とは異なり、専門業者が直接買い取るため、内覧対応や価格交渉の手間をかけずに短期間で現金化できます。
さらに、買取では契約不適合責任が免除されるため、売却後に不具合の責任を問われる心配もありません。
「余計な費用をかけたくない」「早急に売却したい」という方は、買取専門業者の利用を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
瑕疵物件と一口にいっても、瑕疵の内容は物理的な欠陥から心理的な要因まで多岐にわたります。
売却価格の相場は瑕疵の種類によって異なり、市場価格の約50%まで下がるものもあれば、約90%で売れるものもあります。
いずれの瑕疵も物件の価値を下げる要因となるため、修繕や更地化、告知の徹底など、可能な限りの対策が大切です。
ただし、瑕疵の改善には費用がかかり、対策をしても買い手がいつ見つかるかは読めません。
「費用をかけずに早く確実に手放したい」という方には、買取専門業者への依頼が現実的です。
INTERIQは、瑕疵物件の買取を専門とする物件買取業者です。事故物件や孤独死物件、火事があった物件、騒音・悪臭などの問題を抱えた物件まで、どのようなケースでも柔軟に対応いたします。
他社で買取を断られたわけあり物件であっても、安心してお任せください。
所有物件にどのくらいの価値があるのか、いくらで売却できるのかなど、気になる点には専門スタッフが丁寧にお答えいたします。
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