老朽化した家を所有しているものの、修繕費用を捻出できずに困っていませんか。
屋根の雨漏り、外壁のひび割れ、基礎の劣化など問題を把握していても、数百万円単位の修繕費を用意するのは簡単ではないでしょう。
しかし、老朽化した家を放置すれば、倒壊リスクや固定資産税の増額といった深刻な問題に発展する可能性があります。
お金がないから何もできないと考えてしまいがちですが、費用を抑えながら状況を改善できる方法は存在します。
本記事では、老朽化した家を放置するリスクから、劣化レベルの判断方法、費用を抑えた対処法、そして修繕・建て替え・売却の判断基準までを解説します。
- 老朽化した家を放置した場合に生じるリスク
- 修繕・建て替え・売却のどれを選ぶべきかの判断基準
- 費用を抑えながら老朽化した家の問題を改善する方法
老朽化した家を放置するとどうなるか
老朽化した家をお金がないからと放置し続けるとどうなるでしょうか。
倒壊のリスクが高まる
老朽化した家は、構造材の腐食やシロアリ被害によって建物全体の強度が低下していることがあります。
台風や地震などの自然災害が発生したら最悪の場合、倒壊や外壁・屋根材の飛散によって、近隣の住宅や通行人に被害を及ぼしてしまいます。
万が一、老朽化した建物が原因で第三者に損害を与えた場合、所有者は民法第717条の「土地工作物責任」に基づき、損害賠償責任を負うことになります。
工作物責任は無過失責任に近い性質を持つため、お金がなくて修繕できなかったという事情は免責の理由になりません。
放置期間が長引くほど倒壊の危険性は高まるため、修繕費用の問題を理由に放置を続ければ最終的に大きな経済的損失を被る可能性があることを認識しておく必要があります。
特定空き家に認定される恐れ
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、適切に管理されていない空き家は「特定空き家」に認定される可能性があります。
特定空き家に認定されると住宅用地に適用されていた固定資産税の軽減措置(最大6分の1)が解除され、固定資産税が実質的に最大6倍に跳ね上がります。
2023年の法改正では「管理不全空家」という新たな区分が追加されました。
特定空き家に至る前段階の管理不全な状態でも、自治体からの指導・勧告の対象となり、勧告を受けた時点で固定資産税の軽減措置が解除されます。
老朽化した家に住んでいない場合、空き家として自治体の監視対象になるリスクは年々高まっています。
資産価値が下がり売却が困難になる
建物の資産価値は、適切なメンテナンスを行わなければ築年数の経過とともに加速度的に低下します。
木造住宅の場合、法定耐用年数は22年とされており、築20年を超えると建物部分の査定額はほぼなくなります。
建物の価値がなくなるだけでなく、解体費用がマイナス要因として上乗せされます。
買い手にとって購入後に解体費用が発生する物件となるため、土地の価値からさらに値引きされる結果になります。
老朽化が進むほど不動産仲介会社も取り扱いを敬遠する傾向があります。
仲介会社は成約時の仲介手数料が収益源であるため、売れにくい物件よりも成約見込みの高い物件を優先的に扱うからです。
家の老朽化レベルを判断する方法
修繕・建て替え・売却のいずれを選ぶにしても、まずは家の老朽化レベルを把握しなければなりません。
築年数、耐震基準、専門家による診断の3つの観点から確認しましょう。
築年数別に見る劣化の目安
築年数は老朽化レベルを判断するときの基本的な指標です。
木造住宅を基準とした大まかな目安は以下のとおりです。
築30年前後
屋根材や外壁の防水性能が大幅に低下する時期です。雨漏りが発生しやすくなるほか、給排水管の劣化による水漏れトラブルも増加します。構造体(柱や梁)が健全であれば、適切な修繕によって住み続けることは十分に可能です。
築40年前後
構造体にも劣化が及んでいる可能性が高まります。特に湿気の多い床下や浴室周辺は、木材の腐朽やシロアリ被害が進行しやすい箇所です。修繕で対応できるケースもありますが、建て替えを視野に入れるべき段階といえます。
築50年超
構造体の劣化がかなり進んでいると考えるのが現実的です。大規模な修繕を行っても建物の寿命を大幅に延ばすことは難しく、費用対効果の観点から建て替えや売却が合理的な選択肢になります。
ただし、定期的にメンテナンスが行われてきた築40年の家と、まったく手入れをしていない築25年の家では、実際の劣化状況が逆転していることも珍しくありません。
耐震基準の違い
建物の耐震性能は、建築確認申請が行われた時期によって異なります。
1981年6月1日を境に、耐震基準は「旧耐震基準」から「新耐震基準」へと改正されました。
旧耐震基準で建てられた建物は、震度5強程度の地震に対して倒壊しないことを想定した設計です。
一方、新耐震基準では震度6強〜7程度の大規模地震でも倒壊しない構造が求められています。
旧耐震基準の建物は、現行の耐震性能を満たしていない可能性が高く、大地震の際に倒壊するリスクが新耐震基準の建物と比べて格段に高くなります。
実際に、1995年の阪神・淡路大震災や2016年の熊本地震では、旧耐震基準の建物に被害が集中したことが報告されています。
旧耐震基準に該当するかどうかの判断基準は「建築確認申請の日付」であり、「完成日」や「登記日」ではない点に注意が必要です。
よって1981年〜1982年頃に完成した建物は、旧耐震基準で設計されている可能性があります。
建築確認申請の日付は、市区町村の建築指導課で「建築計画概要書」を閲覧すれば確認できます。
自治体の無料耐震診断を活用する
築年数や耐震基準はあくまで目安であり、建物の実際の状態を正確に把握するには専門家による診断が欠かせません。
多くの自治体では、旧耐震基準で建てられた木造住宅を対象に、無料または低額の耐震診断を実施しています。
耐震診断では、基礎・壁・屋根・接合部などの構造体の状態を専門家が直接確認し、建物の耐震性能を数値で評価します。
診断結果をもとに、耐震補強が必要かどうか、補強する場合の概算費用はいくらかといった具体的な情報を得ることができます。
耐震診断の申し込み先は、各市区町村の建築指導課や住宅課です。
診断を受けたからといって耐震改修を強制されることはないため、まずは建物の現状を把握する手段として気軽に利用するとよいでしょう。
老朽化した家を直すお金がない場合の対処法5選
修繕費用を全額自己負担で賄えない場合でも、取れる手段はあります。
公的支援の活用から売却まで、状況に応じた5つの対処法を紹介します。
自治体のリフォーム補助金・耐震改修補助金を活用する
国や自治体は、住宅の老朽化対策を促進するためにさまざまな補助金制度を設けています。
代表的な制度として、耐震改修補助金、リフォーム補助金、バリアフリー改修補助金などがあります。
耐震改修補助金は、旧耐震基準の住宅を対象に耐震補強工事の費用を補助する制度です。
補助額は自治体によって異なりますが、一般的には工事費用の2分の1以内で、上限額は100万〜150万円程度に設定されているケースが多く見られます。
リフォーム補助金は、省エネ改修やバリアフリー改修など、特定の目的に沿ったリフォーム工事を対象としています。
国の補助事業としては「子育てエコホーム支援事業」などが実施されており、要件を満たせば数十万円単位の補助を受けることが可能です。
補助金は原則として工事着工前に申請が必要です。
工事を開始した後からでは申請が認められないため、リフォーム業者との契約前に自治体の窓口で補助金の利用可否を確認しましょう。
リフォームローンを利用して修繕費用を分割払いにする
手元にまとまった資金がない場合、リフォームローンを活用して修繕費用を分割払いにする方法があります。
リフォームローンには、無担保型と有担保型の2種類があります。
無担保型のリフォームローンは、自宅を担保に入れる必要がなく、審査も比較的簡便です。
借入可能額は500万〜1,000万円程度、返済期間は最長10〜15年が一般的で金利は年2〜5%程度と住宅ローンより高めですが、少額の修繕であれば十分に対応できます。
有担保型のリフォームローンは、自宅を担保に設定する代わりに低金利かつ高額の借入が可能です。
金利は年1〜2%台、借入可能額は数千万円に及ぶケースもあり、大規模な改修工事にも対応できます。
ただし、老朽化が進んだ建物は担保価値が低く評価されるため、希望額を借りられない場合がある点には留意が必要です。
住宅金融支援機構が提供する「リ・バース60」は、60歳以上の方を対象としたリバースモーゲージ型の住宅ローンです。
毎月の支払いは利息のみで元金は死亡時に自宅の売却によって一括返済する仕組みのため、月々の負担を大幅に抑えられます。
必要最低限の部分修繕で費用を抑える
建物全体を修繕する予算がない場合は、安全性や居住性に直結する部分だけを優先的に修繕する「部分修繕」という考え方があります。
すべてを一度に直す必要はなく、優先度の高い箇所から段階的に対応するだけでも建物の寿命を延ばすことは可能です。
最優先で対応すべきは、雨漏りの補修です。
雨水の浸入は構造体の腐朽を加速させるため、放置すれば被害が広範囲に拡大します。
次に優先すべきは、構造体の補強です。
柱や梁にシロアリ被害や腐朽が見られる場合、放置すれば建物の倒壊リスクが高まります。
被害が局所的であれば、該当箇所のみを補強する部分修繕で対応できます。
外壁のひび割れやサッシ周りのコーキングの劣化も、雨水の浸入経路になるため早めの対処が望ましい箇所です。
コーキングの打ち替えや部分的な外壁補修であれば、数万〜十数万円程度で対応可能です。
老朽化した家をそのまま買取業者に売却する
修繕費用を捻出する見通しが立たず、住み続ける予定もない場合は、老朽化した家を現状のまま買取業者に売却する方法が有効です。
訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、老朽化した建物であっても、修繕や解体を行うことなくそのままの状態で買い取ってもらえます。
仲介による売却では買い手が見つかるまで数か月〜1年以上かかることも珍しくありませんが、買取であれば査定から売却完了まで最短で1〜2週間程度で進むケースもあります。
一方で、買取価格は一般市場での売却価格と比較して低くなる傾向があります。
相場の5〜7割程度が目安とされていますが、老朽化が著しく一般市場では買い手がつかない物件の場合、買取による現金化が最も現実的な選択肢となることも少なくありません。
業者によって査定基準や得意とする物件の種類が異なるため、1社だけの査定で判断するのは避けましょう。
解体して更地にしてから土地を売却する
建物の老朽化が著しく、解体した方が土地の売却がスムーズに進むと判断される場合は、建物を解体して更地にしてから売却する方法もあります。
更地の方が買い手の用途の自由度が高く、住宅の新築はもちろん、駐車場や商業利用など幅広い需要を取り込めます。
木造住宅の解体費用は、一般的に坪あたり3〜5万円程度が相場です。
延べ床面積30坪の住宅であれば、90万〜150万円前後が目安となります。
ただし、アスベスト含有建材の処分や、重機が入れない狭小地での手壊し作業が必要な場合は費用が増加します。
解体費用の負担が難しい場合は、自治体の「老朽危険家屋解体補助金」を利用できる可能性があります。
注意点として、建物を解体して更地にすると住宅用地の固定資産税軽減措置が適用されなくなります。
更地にした年の翌年から固定資産税が増額されるため、解体後はできるだけ早期に売却を進めることが大切です。
修繕・建て替え・売却の判断基準
老朽化した家への対応は、大きく分けて「修繕して住み続ける」「建て替える」「売却する」の3つの方向性があります。
どの選択肢が最適かは、建物の状態、費用、今後の居住予定によって異なります。
修繕が適している場合(築30年以内・構造体が健全・住み続けたい)
修繕が合理的な選択肢となるのは、建物の構造体(基礎・柱・梁)が健全で、表層部分の修繕によって十分な居住性能を回復できるケースです。
築30年以内の木造住宅であれば、定期的なメンテナンスが行われていなくても、構造体が致命的な損傷を受けていない可能性が比較的高いといえます。
耐震診断の結果、構造体に問題がなければ、屋根・外壁・設備の修繕をして住み続けられるでしょう。
修繕費用の目安としては、屋根の葺き替えが100万〜200万円、外壁の塗り替えが80万〜150万円、給排水管の交換が50万〜100万円程度です。
部分修繕で優先度の高い箇所から対応すれば、総額を抑えることもできます。
修繕を選ぶ際のポイントは、今後10年以上住み続ける可能性が高いかどうかです。
数年以内に手放す予定があるなら、修繕費用を回収できない可能性が高く、売却を先に検討した方が経済的です。
建て替えが適している場合(築40年超・旧耐震・土地に価値がある)
建物の老朽化が進み、修繕では根本的な解決が難しい場合は、建て替えが選択肢になります。
特に、旧耐震基準で建てられた築40年超の建物は、耐震補強の費用が高額になりやすく、建て替えた方がトータルコストで有利になるケースがあります。
建て替えが合理的なのは、立地条件が良く土地の資産価値が高い場合です。
駅近や都市部など需要の高いエリアでは、建物を新築することで不動産全体の価値を向上させることができます。
木造住宅の建て替え費用は、坪単価50万〜80万円程度が目安です。
延べ床面積30坪の住宅であれば、建築費だけで1,500万〜2,400万円程度が必要になります。
解体費用や仮住まいの費用、引っ越し費用を含めると総額はさらに膨らみます。
建て替えを検討する際は、建築基準法上の制約にも注意が必要です。
現在の建物が「再建築不可物件」に該当する場合、建て替え自体ができません。
接道義務や用途地域の制限を確認しておきましょう。


売却が適している場合(住む予定がない・修繕費が売却見込み額を超える)
老朽化した家に今後住む予定がなく、修繕や建て替えに費用をかける意味がない場合は、売却が最も合理的なでしょう。
売却を優先すべき判断基準のひとつは、修繕費用と売却見込み額の比較です。
例えば修繕に500万円かかるが、修繕後の売却見込み額が800万円にしかならないといった場合、300万円の差額のために500万円のリスクを取る合理性は低いといえます。
相続で取得した実家のように、所有者が遠方に住んでおり管理が困難な物件も、早期売却が望ましいケースです。
空き家の状態が続けば、前述のとおり特定空き家への認定リスクや固定資産税の増額リスクが高まります。
老朽化は時間の経過とともに進行し、売却条件は悪化する一方なので売却を決断したらできるだけ早く行動に移すことが重要です。
老朽化した家の売却方法
老朽化した家を売却する方法は、大きく3つあります。
物件の状態や売却にかけられる時間・費用に応じて、最適な方法を選びましょう。
不動産仲介で古家付き土地として売り出す
老朽化した建物が残っている状態でも、古家付き土地として不動産仲介で売り出すことは可能です。
買い手は建物ではなく土地に価値を見出して購入するため、建物の状態はさほど問われません。
古家付き土地として売り出すメリットは、解体費用を負担せずに売却活動を始められる点です。
買い手が解体を前提に購入することが多いため、売り出し価格は更地相場から解体費用を差し引いた金額が目安になります。
デメリットは、売却までに時間がかかりやすいことです。
古家付き土地の購入を検討する買い手は、解体費用や建築プランを含めたトータルコストを慎重に検討するため、成約までに数か月〜半年以上を要するケースが一般的です。
立地条件が良くない場合は、さらに長期化する可能性があります。
買取業者に現状のまま買い取ってもらう
老朽化した家をスピーディに手放したい場合、最も確実な方法が専門の買取業者への売却です。
買取業者は自社で物件を購入するため、仲介のように買い手を探す必要がなく短期間で売却を完了できます。
買取業者への売却では、修繕や解体を行う必要がありません。
建物の状態を問わず、現状のまま引き渡せるため、売主の負担が最も少ない売却方法といえます。
仲介手数料も不要で、契約不適合責任を免除する条件で取引できる業者も多く、売却後のトラブルリスクも抑えられます。
解体費用を補助金で賄って更地売却する
土地の立地条件が良く、更地にすれば高値で売却できる見込みがある場合は、解体して更地にしてもよいでしょう。
解体費用が負担になる場合は、自治体の解体補助金が活用できます。
「老朽危険家屋解体撤去補助金」「空き家解体補助金」など、名称は自治体によって異なりますが、一定の要件を満たせば解体費用の一部を補助してもらえます。
更地売却は、解体費用を投じても土地の売却価格で回収できるかどうかを見極める必要があります。
もし解体費用が手残り額を圧迫するようであれば、古家付き土地としての売却や買取業者への売却の方が合理的です。
まとめ
老朽化した家を直すお金がないとしても、放置だけは避けるべきです。
倒壊による賠償責任、特定空き家の認定による固定資産税の増額など、放置によるリスクは時間とともに拡大します。
訳あり不動産買取専門のINTERIQでは、老朽化が進んだ物件であっても建物の状態を問わず買い取りを行っております。
修繕や解体の費用を負担する必要はなく、仲介手数料も不要です。
売却後の契約不適合責任を免除する形での取引にも対応しておりますので、老朽化した家の処分にお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。



