過去に火災被害を受けた家は、売れるのでしょうか?
結論として売却は可能ですが、一般物件とは異なる手続きや、成約に向けた要点を押さえる必要があります。
この記事では、火災物件の売却相場から売却フロー、高値売却を実現するための手法までを網羅的に解説します。
- 売却相場:火災被害による価格下落の目安
- 売却手順:火災物件特有の準備と手続き
- 判断基準:現状渡しと解体更地化の損得勘定
- 売却戦略:高値・早期売却を成立させる方法
火事のあった家(罹災物件)は売却しにくい?
火災被害を受けた不動産は、一般の物件と比較して売却の難易度が高いのは否めません。
買い主側の心理的抵抗に加え、建物損壊による資産価値の下落が流通を妨げる要因となります。
状況によっては金融機関の融資審査が厳しくなり、買い手が限定される点も売却を停滞させる理由です。
ただし、適切な処置を施せば問題なく売却できます。
建物が使用不能な全焼事案であったとしても、解体して更地化することで土地としての需要を掘り起こせます。
構造に支障がない程度の被害であれば、専門業者による脱臭や内装リフォームを前提に、建物付きで売却を進める手法も選択可能です。
火災の事実は成約までの期間や価格面に影響を及ぼしますが、損壊状況に合わせた対策を講じることで可能です。
火事があった家は事故物件扱いになる?
火災物件が事故物件(心理的瑕疵あり)と見なされるかは、死傷者の有無や出火原因によって決まります。
2021年に国土交通省が策定したガイドラインに基づき、告知義務の基準となる3つの要素を解説します。
死者の有無
火災による死者が発生した事案は、原則として事故物件として扱われます。
建物を解体して更地とした後でも、土地に付随する心理的瑕疵は消えず、買い主への説明を要します。
人命喪失の事実は物理的な修繕で解決できない抵抗感を与えるため、売却価格は下落する傾向にあります。
事件性の有無
出火原因が放火などの事件に起因する場合も、心理的瑕疵は深刻化します。
放火は再犯や治安への懸念を買い主に想起させるため、通常の火災以上に市場価値を損なう要因となります。
居住用としての需要が極端に下がってしまいます。
被害の規模
死傷者がおらず被害が一部にとどまるボヤであれば、心理的瑕疵ではなく物理的瑕疵(建物の損壊)としての対応が中心となります。
構造躯体にダメージがなく、異臭も完全に除去できている状態であれば一般の中古物件に近い形で取引可能です。
ただし、規模の大小を問わず火災の事実を隠匿して売却すれば、契約不適合責任を問われ、損害賠償トラブルに発展します。
透明性の高い情報開示が円滑な取引の絶対条件です。
解体して更地・そのまま売却どちらが得?
火災物件を売る際、そのまま売る方がよいか更地にするのがよいか悩むときがあるかもしれません。
それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
解体して売る
メリット
更地化は火災に伴う外見上の嫌悪感を解消し、新築用地としての検討を可能にします。
焦げ跡や異臭の原因を物理的に除去するため、買い主側の心理的抵抗が軽減されます。
敷地の形状や日当たりが明示されることで活用イメージが具体化し、市場相場に準じた価格での売却が望めます。
デメリット
解体売却のデメリットは資金負担です。
150万〜300万円程度の解体費用を要し、火災廃棄物の処理費用は一般相場を上回る傾向にあります。
建物が残っていれば適用される「住宅用地特例」が解体によって消失するため、売却が遅延し年を越した場合は土地の固定資産税が最大6倍まで増額するリスクを伴います。
また、その物件が「再建築不可(現行法上の接道義務などを満たしておらず、一度壊すと新しい家を建てられない)」の土地だった場合、安易な解体は致命的なミスとなりかねません。
建物を壊して更地にした瞬間、その土地は「二度と家を建てられない場所」へと変わり、資産価値がなくなる危険があります。
解体工事に着手する前に、必ず用途地域や建築基準法上の制限を専門家に確認しましょう。

そのまま売る
メリット
現況で売却するメリットは、解体費用等の先行支出が不要な点にあります。
資金調達の準備を要さず、経済的負担を回避できます。
清掃や廃棄物の撤去を行わず引き渡せるため、売却開始までの期間を最短化できます。
また、建物が残存しているため、売却が成立するまでの期間も「住宅用地の特例」が継続され、固定資産税の急増を防げます。
デメリット
現状での売却は、個人買い主による成約は困難です。
建物に損壊や異臭が残る状態では居住用需要が見込めず、取引相手は不動産買取会社に限定されます。
仲介による市場価格と比較して売却価格は低下しますが、売主側の契約不適合責任の免除や早期決済が可能です。
火災物件を隠して売却するとどうなる?
火災の事実を隠匿して売却を行う行為は、不動産取引における告知義務違反に該当します。
売主には物件の品質や状態を正確に伝える義務があり、心理的瑕疵や物理的瑕疵を秘匿したまま契約を締結した場合、契約不適合責任を追及される事態を招きます。
買い主が火災履歴を知らずに購入を決定し、後に事実が判明した際は、売主に対して法的な補償を求める権利が発生します。
告知義務違反に伴う法的なペナルティ
事実を秘匿した売買契約が成立した後に火災履歴が発覚した場合、売主は買い主から以下の請求を受ける可能性があります。
不実の告知は信義則に反するため、売主側が過失を否定することは極めて困難です。
| 請求項目 | 請求が認められる内容 |
| 損害賠償請求 | 資産価値の下落分や、精神的苦痛に対する慰謝料の支払い義務 |
| 契約解除 | 契約自体を白紙に戻し、受領済みの売却代金を全額返還する義務 |
| 代金減額請求 | 火災物件としての適正価格まで販売価格を引き下げる差額の払い戻し |
| 追完請求 | 残存する異臭や煤(すす)などの物理的欠陥を除去する修繕費用の負担 |
告知義務違反のリスクは、買い主との関係だけに留まりません。
売主が仲介会社に対しても虚偽の報告を行っていた場合、事実発覚後に仲介会社から「営業名誉を傷つけた」として損害賠償を請求される事例が存在します。
火事があった家の解体費用は高くなる点に注意
火災物件の解体費用は、廃棄物の特殊な処理工程を要するため、通常の解体相場を上回る点に注意です。
価格上昇の直接的な原因は、火災ごみ(罹災ごみ)の処分および現場管理の難易度にあります。
解体工事に伴い発生する焼損建材は、法律上の分類では「産業廃棄物」に含まれますが、通常の建材と比較してリサイクルが著しく困難な廃棄物として扱われます。
炭化した木材や溶融した外壁材などは素材ごとの分別が難しく、最終処分場での受け入れ手数料が高額に設定されています。
有害物質の飛散防止措置や手作業による細かな選別作業も不可欠となり、処理費用が一般物件の1.5倍から2倍に達する要因となります。
構造別・坪単価の目安表は以下です。
| 構造 | 通常の解体目安 (坪) | 火災物件の解体目安 (坪) |
| 木造 | 3万〜5万円 | 5万〜8万円以上 |
| 鉄骨造 | 4万〜6万円 | 6万〜9万円以上 |
| RC造 | 6万〜8万円 | 8万〜12万円以上 |
自治体単位で火災ごみの処理手数料を減免する制度が存在します。
適用には消防署発行の「罹災証明書」の提示が必須条件で鎮火後、速やかに所轄の消防署へ交付申請を行う必要があります。
被害状況の客観的証拠がなかった場合、罹災認定の区分(全壊・半壊等)が下がり、手数料の減免範囲が縮小する事態を招いてしまうため、片付けや解体着手前の写真撮影をしておきましょう。
火事があった家を売りたいときは専門業者への買い取り依頼がおすすめ
火災被害に遭った家を売ろうとしても、買い主探しが難航して精神的に参ってしまうことは少なくありません。
火事の跡が残る物件は、調査や手続きに手間がかかるため、普通の不動産会社からは敬遠されたり、大幅な値引きを迫られたりすることも多いのが現実です。
そんな時に頼りになるのが、事故物件や訳あり物件を専門に扱う買取業者です。
専門業者は独自の販売ルートや建物を再生させるノウハウを持っているため、一般の会社が断るようなボヤや全焼の物件であっても、土地の価値や再建築の可能性をしっかり見極めて適切価格で買い取ってくれます。
売却を急いでいる状況を狙って、相場よりずっと安く買い叩こうとする不誠実な業者には注意が必要ですが、信頼できる業者さえ見つかれば、悩みは一気に解決へと向かいます。
これまでの実績が豊富でリスクについても誠実に説明してくれるかどうかを基準に、安心して任せられる相談先を選びましょう。
まとめ
火災物件の売却は、決して不可能なことではありません。
当社は、事故物件や訳あり物件を専門に扱う買取のプロフェッショナルです。
「まとまった解体費用を工面できない」「近所に知られず、静かに早く手放したい」「告知義務によるトラブルが不安」といった切実なお悩みを、どこよりも誠実かつスピーディーに解決いたします。
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