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負動産とは?売れない不動産を処分する方法6選と相続放棄の判断基準

「親から相続した実家が、いくら値下げしても売れない」

「毎年の固定資産税や管理費だけがかさんでいく」

持っているだけで損失を生み続ける不動産は「負動産」と呼ばれ、今や社会問題のひとつになっています。

この記事では、負動産の処分方法と、そもそも相続しない方がよいときの判断基準まで解説します。

目次

負動産とは

負動産の定義

負動産とは、所有しているだけで経済的な負担が発生し続けている不動産のことです。

「不動産」の「不」を「負」に置き換えた造語で、資産どころか負債になってしまった不動産を揶揄する表現として広まりました。

代表的な負動産としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 築年数が古く管理組合が機能していないマンション
  • 過疎地にある空き家
  • バブル期に投資目的で購入された山林や原野
  • リゾートブームの時代に開発された別荘地

負動産が生まれる理由

負動産が生まれる理由として、日本社会が抱える構造的な問題があります。

それが人口減少と過疎化です。

日本の総人口は2008年をピークに減少に転じており、特に地方では若年層の都市部への流出が続いています。

住む人がいなくなった地域では不動産の需要が消滅し、値下げしても買い手が現れない状態に陥ります。

団塊の世代が後期高齢者となり、「大相続時代」と呼ばれる状況が到来しています。

親が保有していた地方の不動産を、都市部に住む子どもが相続するケースが急増していますが、利用価値のない不動産は、そのまま負動産となってしまいます。

また、かつてのバブル経済やリゾート開発ブームの影響から投機目的で購入された山林・原野・別荘地は、バブル崩壊後に需要が消滅し、数十年にわたって処分できないまま所有者の負担となり続けています。

負動産を放置するリスク

負動産を放置することにどのようなリスクがあるでしょうか。

固定資産税・管理費・修繕費が毎年発生する

負動産を所有している限り、固定資産税は毎年必ず課税されます。

利用していない空き地や空き家であっても、所有者である限り納税義務から逃れることはできません。

最低限の維持管理として草刈り・清掃・修繕などの費用も必要になるため、年間の負担額は決して小さくありません。

マンションの場合は、固定資産税に加えて管理費と修繕積立金の支払いも必要です。

特定空き家の認定リスク

空き家を放置し続けると自治体から「特定空き家」に認定されるリスクがあります。

特定空き家とは、倒壊の危険がある・衛生上有害である・景観を著しく損ねている・周辺の生活環境に悪影響を及ぼしているなどの条件に該当する空き家のことです。

通常、住宅が建っている土地には固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例)が適用され、税額が最大6分の1に軽減されています。

しかし、特定空き家に認定され、自治体から「勧告」を受けると軽減措置が解除され、固定資産税が実質的に最大6倍に跳ね上がります。

2023年の空家等対策特別措置法の改正により、特定空き家の予備軍にあたる「管理不全空き家」の区分も新設されました。

管理不全空き家に対しても勧告が出されると、同様に固定資産税の軽減措置が解除されます。

近隣トラブルの元になる

放置された負動産は、周辺地域に対してさまざまな悪影響を及ぼします。

老朽化した建物の屋根材や外壁が落下・飛散して通行人にけがを負わせた場合、所有者は損害賠償責任を負います。

民法第717条の「工作物責任」では、建物の所有者は無過失責任を問われるため、知らなかったという言い訳は通用しません。

建物の倒壊や樹木の越境、害虫の発生、不法投棄の誘発、放火のリスクなど、放置空き家がもたらすトラブルは多岐にわたります。

近隣住民から苦情を受けるだけでなく、実際に損害が生じた場合には、高額な賠償請求を受ける可能性もあります。

次世代に負動産を引き継がせてしまう

負動産を放置したまま所有者が亡くなると相続によって負動産は次の世代へ引き継がれます。

自分一代で解決できなかった問題が、子どもや孫の世代にまで持ち越されることになります。

相続が繰り返されるたびに、所有者が増えて権利関係が複雑になり、処分のハードルはさらに上がっていきます。

将来の家族に経済的・精神的な負担を残さないためにも、負動産の問題は先送りせず早期に対処することが重要です。

負動産を処分する方法6選

負動産を手放す方法は複数あります。

物件の状況や立地、かけられる費用に応じて、最適な方法を選びましょう。

①不動産買取業者に売却する

一般的な不動産仲介では買い手がつかない物件でも、不動産買取業者であれば買い取ってもらえる可能性があります。

特に「訳あり物件」や「再建築不可物件」を専門に扱う買取業者は、通常では流通しにくい物件の買取実績を豊富に持っています。

買取業者に依頼するメリットは、売却までのスピードが速い点です。

仲介のように買い手を探す期間が不要で、査定から売却完了まで数週間〜1か月程度で進むケースが一般的です。

また、残置物や建物の不具合があっても現状のまま買い取ってもらえる場合が多く、売主の負担が軽い点も魅力です。

買取価格は市場相場よりも低くなることがほとんどですが、維持費の負担から解放されることを考えればトータルでプラスになるケースは少なくありません。

②空き家バンクに登録して買い手を探す

空き家バンクとは、自治体やその委託先が運営する空き家のマッチングサービスです。

空き家の売却・賃貸を希望する所有者と、空き家を活用したい移住希望者や事業者をつなぐ仕組みになっています。

空き家バンクのメリットは、登録が無料であることです。

自治体が運営に関わっているため信頼性が高く、移住支援や補助金制度と連携しているケースもあります。

自治体によっては、空き家バンクを通じた売買にリフォーム補助金を出しているところもあり、買い手にとってのインセンティブが高まる場合があります。

一方で、空き家バンクは登録してもすぐに買い手が見つかるとは限りません。

地域によっては登録物件数に対して問い合わせが少ないケースもあるため、他の処分方法と並行して活用するのがおすすめです。

③無償譲渡

売却が困難な負動産の場合、対価を求めずに無償で譲渡するという選択肢もあります。

「お金を払ってでも手放したい」と感じるほど負担が大きいのであれば、タダでも引き取ってもらえるだけで十分にメリットがあります。

無償譲渡の相手としては、近隣住民や地元の事業者、NPO法人、移住希望者などが考えられます。

注意点として、無償譲渡であっても受け取る側には「贈与税」が発生する場合があります。

個人間の贈与では、受贈者に贈与税の申告義務が生じることがあるため、税務上の扱いを確認しておく必要があります。

④相続土地国庫帰属制度で国に返す

2023年4月にスタートした「相続土地国庫帰属制度」は、相続や遺贈で取得した不要な土地を国に引き渡せる制度です。

これまでいらない土地を国に返す方法がなかったところに、初めて法的な仕組みが設けられました。

制度を利用するためには、建物がない更地であること、担保権や使用収益権が設定されていないこと、境界が明確であることなど一定の要件を満たす必要があります。

建物がある場合は、申請者の負担で解体・撤去を行う必要があります。

費用面では、審査手数料(1筆あたり14,000円)と、承認後に納付する「負担金」が必要です。

負担金は原則として20万円ですが、土地の面積や種類によって金額が変動する場合があります。

⑤自治体やNPOに寄付する

不要な土地や建物を自治体やNPO法人に寄付するという方法もあります。

自治体が公共用地として活用できる見込みがある場合や、NPOが地域活性化のプロジェクトに利用できる場合には、寄付を受け入れてもらえる可能性があります。

ただし、寄付を受け入れれば管理費用が発生するため、自治体が負動産の寄付を受け入れるケースは限定的です。

寄付を検討する場合は、まず物件の所在する自治体の担当窓口に相談してみましょう。

道路拡張の予定地に隣接しているなど、公共的な利用価値がある土地であれば、受け入れてもらえる可能性が高まります。

⑥隣地の所有者に買い取り・引き取りを打診する

意外と見落とされがちですが、隣接する土地の所有者に購入や引き取りを打診する方法もあります。

隣地の所有者にとっては、隣の土地を取得することで自分の土地と一体化でき、面積の拡大や利用の幅が広がるメリットがあります。

「隣の土地は借金してでも買え」ということわざがあるように、一般的な購入者にとっては価値のない土地でも、隣地の所有者にとっては価値があるかもしれません。

打診の際は、いきなり訪問するよりも、手紙や不動産業者を介して連絡を取る方がスムーズです。

負動産は相続放棄するという選択肢

相続の段階で負動産を受け取らないという選択肢もあります。

相続放棄について

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切受け取らないことを、家庭裁判所に申述する手続きです。

相続放棄が受理されると法的にはその人は「最初から相続人ではなかった」ものとして扱われます。

相続放棄の手続きは、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

手続きに必要な書類は、申述書、被相続人の戸籍謄本、申述人の戸籍謄本などです。

費用は収入印紙800円と郵便切手代程度で、比較的少額で済みます。

相続放棄を行えば負動産の所有権を引き継ぐことはなくなるため、固定資産税や管理費の負担を回避できます。

相続放棄しても管理責任が残るケースも

相続放棄をすれば完全に負動産から解放されるわけではない点に注意が必要です。

2023年4月に施行された改正民法(第940条)では、相続放棄をした人であっても放棄時点で相続財産を「現に占有」している場合には、次の相続人または相続財産清算人に引き渡すまでの間、自己の財産と同一の注意をもって保存しなければならないと定められています。

改正前は「管理義務」という広い表現が使われていましたが、改正後は「保存義務」に限定され、「現に占有している場合」に限るという条件も明確化されました。

たとえば、被相続人と同居しておらず、物件を占有していない相続人が相続放棄をした場合には、保存義務は生じないと解されています。

ただし、被相続人と同居していた場合や、相続開始後に物件の鍵を受け取って管理を始めていた場合などには、相続放棄後も保存義務が残る可能性があります。

自分のケースで義務が残るかどうか判断に迷う場合は、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

負動産だけを選んで放棄することはできない

相続放棄最大の注意点は、負動産だけを選んで放棄することはできないという点です。

相続放棄は「すべての相続財産を放棄する」手続きであるため、他の財産(預貯金・有価証券・他の不動産など)もすべて放棄することになります。

そのため、相続放棄を検討する際は、まず相続財産の全体像を正確に把握することが不可欠です。

負動産の固定資産税、管理費、解体費用などと、プラスの財産の総額を比較した上で、放棄すべきかどうかを判断する必要があります。

また、自分が相続放棄をすると次の順位の相続人に相続権が移る点にも注意が必要です。

たとえば、子が相続放棄をすると、被相続人の兄弟姉妹に相続権が移る場合があります。

負動産の問題が親族全体に波及しないよう関係者と話し合っておくことが望ましいです。

負動産の種類別・処分方法の比較

負動産の種類によって、適した処分方法は異なります。

地方の空き家

地方の空き家は、訳あり物件専門の買取業者への売却が現実的な処分方法です。

築年数が古く状態が悪い物件でも、買取実績のある専門業者であれば対応してもらえるケースがあります。

自治体の空き家バンクへの登録も有効です。

移住促進に力を入れている自治体では、空き家バンクを通じた成約にリフォーム補助金や移住支援金を設けている場合があり、買い手にとっての魅力が高まります。

建物の状態が著しく悪い場合は、解体して更地にした上で処分する方が買い手が見つかりやすくなるケースもあります。

解体費用と固定資産税の変動(住宅用地の特例が外れる点)を考慮した上で判断しましょう。

山林・原野

山林や原野は、一般的な不動産市場ではほぼ売却できない物件です。

処分方法としては、相続土地国庫帰属制度の利用か、民間の引き取りサービスの活用が中心になります。

国庫帰属制度を利用するためには、境界が明確であることや、土壌汚染がないことなどの要件を満たす必要があります。

山林の場合、境界が不明確なケースが多いため、測量や境界確認の作業が必要になる場合があります。

山林や原野は比較的低コスト(10万〜30万円程度)で引き取ってもらえる傾向がありますが、業者の信頼性を確認しておきましょう。

別荘地

バブル期やリゾートブーム時代に開発された別荘地は、管理費や温泉権利金などの維持コストが高く、負動産の中でも特に負担が大きい物件です。

別荘地の処分には、リゾート物件を専門に扱う買取業者を利用するのが効果的です。

軽井沢や那須、伊豆といった地域ごとに専門業者が存在し、一般の買取業者では対応できない物件でも買い取ってもらえる場合があります。

買取が難しい場合は、無償譲渡も検討に値します。

別荘地の無償譲渡を扱うマッチングサイトでは、セカンドハウスやワーケーション拠点を探している個人とマッチングできる可能性があります。

限界マンション

限界マンションとは、築年数の経過による老朽化、修繕積立金の不足、管理組合の機能不全、空室率の増加などが複合的に進行し、維持管理が立ち行かなくなったマンションのことです。

旧耐震基準(1981年以前の基準)で建てられた物件は、耐震性への不安も加わり、特に処分が困難になります。

個人での対応としては、マンションの訳あり物件を扱う買取業者への売却が現実的でしょう。

一般の売買市場では敬遠される物件でも、専門業者であれば投資用やリノベーション用として買い取るケースがあります。

管理組合が機能している場合は、組合を通じた建替え決議や敷地売却決議を進めるという方法もあります。

2014年に施行された「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の改正により、耐震性不足のマンションについては区分所有者の5分の4以上の賛成で敷地売却が可能になっています。

ただし、合意形成には長い時間がかかるため、個人での早期処分と並行して進めるのがよいでしょう。

負動産処分で損をしないためのポイント

負動産の処分を進める際に、知っておくべき重要なポイントを整理します。

複数の買取業者に査定を依頼して比較する

負動産の売却を検討する場合は、必ず複数の買取業者から査定を取りましょう。

1社だけの査定では、提示価格が適正かどうか判断できません。

訳あり物件の場合、業者によって査定額に大きな差が出ることがあります。

ある業者では買取不可と言われた物件が、別の業者では数十万円の値が付くケースも珍しくありません。

物件の種類に強い専門業者を含めて、少なくとも3社以上に査定を依頼するのが理想的です。

引き取りサービスの詐欺・悪徳業者に注意する

有料の引き取りサービスを利用する際は、悪徳業者に注意する必要があります。

実際に報告されているトラブルとしては、高額な引き取り費用を支払ったにもかかわらず所有権移転登記が行われていなかったケース、契約後に追加費用を次々と請求されたケース、引き取った不動産を第三者に転売して利益を得ていたケースなどがあります。

悪徳業者を見分けるポイントとしては、会社の所在地や設立年数を確認すること、過去の取引実績や口コミを調べること、契約前に費用の内訳と所有権移転のスケジュールを書面で確認することなどが挙げられます。

処分前に固定資産税の滞納がないか確認する

負動産を処分する前に、固定資産税の滞納がないかを必ず確認しましょう。

固定資産税を滞納していると不動産に「差押え」が登記される場合があります。

差押えが入っている状態では、売却や譲渡の手続きが進められなくなります。

滞納がある場合は、まず自治体の税務窓口で滞納額を確認し、分割納付の相談を行いましょう。

滞納額が大きい場合でも、分割納付の計画を立てて着実に返済していけば差押えの解除に応じてもらえるケースがあります。

処分を急ぐ場合は、売却代金から滞納分を支払うことを条件に、差押えの解除と売却を同時に進める方法もあります。

専門家に相談する

負動産の処分には、法律・税務・登記など多方面の専門知識が必要になります。

専門家に相談することで、思わぬ失敗やトラブルを防ぐことができます。

各自治体では、無料の法律相談や不動産相談の窓口を設けている場合があります。

法テラス(日本司法支援センター)でも、収入が一定以下の方を対象に無料の法律相談を実施しています。

費用面が心配な場合は、まずこうした無料相談を活用するのがおすすめです。

まとめ

負動産は、所有しているだけで固定資産税や管理費などの経済的負担が発生し続け、放置すればするほど問題が深刻化していきます。

特定空き家の認定による税負担の増加、損害賠償リスク、次世代への負担の連鎖など、放置のリスクは決して軽視できません。

処分は物件の種類や状態に応じて、適切な方法を選ぶことが大切です。

相続の段階であれば、相続放棄という選択肢もあります。

ただし、相続放棄はすべての財産を放棄する手続きであること、放棄後も保存義務が残る場合があることを理解した上で判断する必要があります。

当社では訳あり物件を買い取りしています。

負動産の問題は、早く動くほど選択肢が多く、かかる費用も少なく済む傾向がありますので処分でお困りの際はお気軽にお問合せください。

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