MENU

親の家を相続したくないときはどうすればいい?相続放棄や売却などの対策を解説

親の家を相続したくないときはどうすればいい?相続放棄や売却などの対策を解説

「実家が遠方にあって住む予定がない」

「古い家を管理し続ける自信がない」

このような理由から親の家を相続することに戸惑いを感じている人は方は少なくありません。

相続したくないときは、どのような選択を取るべきでしょうか。

本記事では、家を相続したくない場合に検討すべき対策について解説します。

この記事でわかること
  • 相続のメリットとデメリット
  • 相続放棄について
  • 不要な家の売却方法
目次

実家を相続することで起こる問題

実家を相続することでどのような問題が起こりうるでしょうか。

コストが発生する

不動産は、居住の有無にかかわらず維持費が発生します。

たとえ居住の実態がない空き家であっても、以下の支払いは免れません。

税金の支払い

相続税には基礎控除がありますが、都市部や敷地の広い家では控除額を超えるケースが少なくありません。

相続税の基礎控除額は以下の計算式を用いて算出します。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

また、相続後も毎年課される「固定資産税」や「都市計画税」は、所有し続ける限り止まることはありません。

特に注意すべきは、管理不全と認定され「特定空き家」に指定された場合です。

住宅用地の特例(税額を更地の6分の1に抑える措置)から除外され、税額が最大6倍に跳ね上がるリスクを伴います。

維持・管理コスト

火災保険料、庭木の剪定、雑草除去、建物の腐朽を防ぐための通風・清掃費など、資産価値を維持するための支出は、家計に圧迫を与えます。

所有者責任

実家を放置することで起こるトラブルは、個人の不始末では済まないことがあります。

万が一事故が発生した場合、相続人は莫大な賠償責任を負うだけでなく、行政処分の対象にもなります。

工作物責任(民法第717条)

建物の倒壊や外壁の剥落、屋根瓦の飛散によって通行人や隣家に損害を与えた場合、建物の所有者は、過失(落ち度)がなくても賠償責任を負う「無過失責任」を問われます。

民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

過去の判例では、建物の管理不備による死亡事故に対し、数千万から1億円を超える賠償を命じられたケースもあります。

相続したばかりで状況を知らなかったという主張も、法律上は通用しません。

行政による強制介入(空家法改正への対応)

2023年12月施行の改正空家対策特別措置法により、管理不全への行政の監視は厳しくなっています。

窓が割れている、雑草が繁茂しているといった放置すれば特定空き家になる恐れがある段階で行政から改善勧告を受ける可能性があります。

これに従わない場合、固定資産税の優遇措置が解除(実質最大6倍に増税)されます。

周囲に危険を及ぼす恐れがある場合、利害関係者の申し立てにより、裁判所が「所有者不明建物管理人」や「管理不全建物管理人」を選任できるようになりました。

管理費用は最終的に所有者が負担することになります。

近隣環境への悪影響

老朽化した建物の放置は、地域コミュニティに対して深刻な負の連鎖を引き起こします。

万が一、空き家から火災が発生した場合、失火責任法により通常は賠償を免れますが、管理に重大な過失があるとみなされれば、火元として多額の損害賠償を請求される可能性があります。

また、不法投棄の温床となってしまえば害虫や悪臭が発生し、隣地の土地価格を下げてしまうかもしれません。

家を相続するメリット

ここで家を相続するメリットについても見てみましょう。

住居コストの削減

実家を相続し、自らの居住拠点として活用すると住居費の削減ができます。

特に現在、賃貸物件に住み毎月の家賃を支払っている状況であれば計り知れないメリットとなるでしょう。

これまで固定費として払っていた金額は、将来のための資産形成や教育資金、あるいは生活の質を向上させるための投資に回すなどの選択が可能となります。

財産になる

建物の価値が築年数の経過によって法定耐用年数を超え、市場評価がなくなっていたとしても手元に残る確かな財産となります。

特に利便性の高い地域や都市部の土地であれば、古家を解体して更地にする、あるいは現状のまま売却を行うことで、まとまった現預金を確保できる可能性を秘めています。

また、自ら住むだけでなく、戸建て賃貸として運用し、継続的な賃料収入を得るという活用法も検討できるでしょう。

節税になる

不動産の相続は、税制面でもメリットがあります。

特に「小規模宅地等の特例」を適用できる場合、居住用宅地の評価額を最大で80%減額することが可能となり、相続税の負担を劇的に抑えられます。

現預金で資産を保有している場合と比較して、不動産として引き継ぐことで得られる強力な節税効果です。

制度を正しく活用することで、大切な資産をより多く、次世代へと守り伝えることが可能となります。

相続放棄の問題点

「親の家を引き継ぎたくない」と考えた際、相続放棄を考えるかもしれません。

ただ、家がいらないからという理由だけで進めてしまうと取り返しのつかない不利益を被る可能性があります。

特定の財産(家だけ)を放棄することはできない

相続放棄は、預貯金などの「プラスの財産」と、不動産や借金などの「マイナスの財産」をすべて一括で放棄する包括的な手続きです。

現金や貴金属は引き継ぐが、管理の負担が大きい家はいらないといった相続人側の都合による財産の選別は法律上一切認められていません。

実家を手放すために相続放棄を選ぶのであれば、親が遺したすべての資産を捨て去る覚悟を持たなければなりません。

放棄後も「管理責任」が残るリスク

手続きさえ済ませれば、すべての責任から即座に解放されるわけではありません。

2023年の民法改正後も、放棄の時点で不動産を占有していた場合などは、次の相続人や相続財産清算人が選任されて実際に管理を開始できるまで、保存義務としての管理責任が残ります。

もし期間中に建物が放置されて倒壊し、通行人や近隣住民に損害を与えた場合、放棄後であっても元相続人が損害賠償責任を問われる恐れがあります。

管理体制が整うまでは、責任の連鎖が断ち切れないという点は大きなリスクと言えます。

3ヶ月という短い判断期限

相続放棄の申し立ては、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で行う必要があります。

実家の正確な資産価値を把握し、他の親族との利害調整を行うには、この期間はあまりに短すぎます。

特に遠方の物件であれば、現地調査だけで時間を費やしてしまい、期限を一日でも過ぎれば法律上は相続を全面的に認めたもの(単純承認)とみなされてしまいます。

この期限を失念すれば、二度と放棄はできなくなるため、早急かつ的確な意思決定が求められます。

相続した後に処分する方法

相続放棄が現実的でない、あるいはすでに期限を過ぎてしまった場合には、一度名義を引き継いだ上で、所有期間を最小限に抑えて手放す戦略に切り替える必要があります。

その際、検討すべき主な処分方法は3つあります。

仲介による売却

不動産会社に買主を探してもらう「仲介」は、最も一般的な売却方法です。

立地条件が良く、建物に一定の利用価値がある場合は、相場価格に近い金額での売却が期待できる点がメリットです。

しかし、一般の買主を対象とするため、実際に成約に至るまで数ヶ月から、条件によっては年単位の時間を要することもあります。

売却が決まるまでの間、固定資産税や維持費の支払いは継続して発生し、空き家の管理義務も負い続けなければなりません。

「いつ売れるか分からない」という不透明な期間を許容できるかどうかが、判断の分かれ目となります。

無償譲渡

無償で譲渡する方法です。

「タダであれば誰かが引き取ってくれるだろう」と考えがちですが、実際には容易ではありません。譲り受ける側には贈与税や不動産取得税が課せられるだけでなく、将来的な維持コストや法的リスクもそのまま引き継がれることになります。

そのため、たとえ親戚や知人であっても、利用価値の乏しい不動産を無償で引き受けるというケースは極めて稀です。

また、自治体への寄付についても、公園の建設予定地や公共施設としての活用計画がない限り、原則として受理されることはありません。

国に土地を返す「相続土地国庫帰属制度」という選択肢も存在しますが、これには建物の解体費用や高額な負担金の納付が求められます。

結果として、手放すための金銭的なハードルが高く、現実的な解決策になりにくいのが実情です。

不動産買い取り業者

不動産買い取り業者への依頼は、スピーディーかつ確実に売却できる方法です。

仲介とは異なり、不動産会社が自ら買主となるため、最短数日から数週間という短期間で契約が完了します。

メリットは、建物の老朽化や室内の残置物を気にせず、現状のまま手放せることです。

一般的に、売却後の不具合に対する「契約不適合責任」も免責されるため、将来的なリスクを心配する必要もありません。

一刻も早く「所有者」としての心理的ストレスや固定資産税などの納税義務から解放されたい方にとって、極めて合理的な選択肢といえます。

親の家を相続しないために生前からできる対策

将来的に実家を引き継ぐ意思がないのであれば、相続という所有権が移転するイベントが発生する前に対策を講じておくべきです。

将来の管理負担や親族間の紛争を回避するための選択肢は、大きく分けて以下の三点に集約されます。

親が健在なうちに「家を売却」してもらう

最も確実で後腐れのない解決策は、親が元気なうちに家を売却し、資産を不動産から現預金へと形を変えておくことです。

不動産のまま相続を迎えると、分割の難しさや管理責任の押し付け合いが発生しますが、現金であれば一円単位で公平に分けることができ、相続人同士の紛争リスクを低減できます。

ただし、これには親自身の「住み慣れた家を離れる」という心理的な壁を乗り越える必要があり、施設への入所や住み替え先の確保など、生活環境の変化を含めた計画が不可欠です。

「家族信託」で売却できる権利を確保する

もし親が「住み続けたい」と望むのであれば、家族信託の組成を検討すべきです。

親の判断能力がしっかりしているうちに、不動産の管理・処分権限を子に移しておく手法です。

万が一、親が認知症などで判断能力を失うと、成年後見制度を利用しない限り不動産の売却は事実上不可能になります。

家族信託を結んでおけば、親が施設へ入所するなど家を空けることになったタイミングで、子の判断のみで速やかに売却手続きを進めることが可能になり、資産の凍結という最悪の事態を防げます。

遺言書による「換価分割」の指定

相続人同士での不動産の押し付け合いを法的に未然に防ぐには、親に「換価分割」を前提とした遺言書を作成してもらうのが有効です。

これは、遺言の中で「実家を売却し、その代金を相続人で分ける」という方針を明確に指定しておくものです。

特定の誰かが家を相続して苦労を背負い込むのではなく、プロの業者を通じて現金化した上で分配することを親の最終意思として残すことで相続人は感情的な対立を避け、事務的に処分を進めることができるようになります。

まとめ

親が亡くなった後に実家を相続したくない場合、取れる手段は大きく分けて二つしかありません。

すべての権利を一切合切手放す相続放棄か、あるいは一度引き継いだ上で速やかに売却・処分するかです。

それぞれの選択には、法的な制約や金銭的な負担といったメリットとリスクが混在しています。

ご自身やご家族の将来を見据え、何が最も心理的・経済的なストレスを抑えられるかを冷静に判断することが重要です。

もし処分に困っているのなら、訳あり不動産の買い取りに強い当社へご相談ください。

目次