ハザードマップを見て自宅が浸水想定区域に含まれていると知り、売却価格への影響が気になっていないでしょうか。
近年、災害リスクへの意識の高まりや法令改正により、浸水リスクが不動産の資産価値に影響を与える場面が増えています。
しかし、浸水想定区域に含まれているからといって必ずしも売れなくなるわけではありません。
この記事では、浸水想定区域の指定が不動産価格に与える影響の実態と売却するための方法を解説します。
- 浸水想定区域が売却価格に影響する理由
- 浸水想定区域にある物件の価格への影響度
- 浸水リスクのある物件を適切に売却する方法
浸水想定区域が売却価格に影響する?
基本的に、浸水想定区域に指定されていること自体が売却価格を大きく押し下げるわけではありません。
ハザードマップの情報は公開されており、周辺の取引相場にはすでに浸水リスクが織り込まれているためです。
つまり、周辺相場に沿った価格設定であれば、浸水想定区域内の物件でも通常通り売却できる可能性があります。
ただし、以下のような場合には相場よりさらに下がる要因となるため注意が必要です。
ハザードマップ指定による心理的減価
浸水想定区域に含まれているという事実は、実際の浸水被害の有無にかかわらず、買主に強い心理的抵抗感を与えます。
特に近年は大規模な豪雨災害が頻発しており、ハザードマップで色がついているエリアを検討候補から除外する買主が増えています。
物件の状態に問題がなくても、区域指定の事実だけで需要が限定され、成約価格を下げざるを得ない「心理的減価」が生じるのが実態です。
重要事項説明の義務化に伴う市場性の変化
2020年の宅地建物取引業法施行規則の改正により、不動産取引ではハザードマップ上の物件所在地を重要事項として説明することが義務付けられました。
義務化をきっかけに、買主が物件選びの段階からハザードマップを確認する意識が高まり、浸水想定区域の物件は検討候補から早い段階で外されやすくなっています。
売り出し当初からリスクを織り込んだ価格設定をしておくことが、取引を停滞させないための条件となります。
価格への影響度を左右する条件
新たに浸水想定区域に指定された場合
ハザードマップの見直しによって新たに浸水想定区域に指定されたエリアでは、指定前の相場にリスクが反映されていないため価格が下がる可能性があります。
新規指定の直後は買主の警戒感も強くなりやすいため、売却のタイミングを含めた慎重な判断が必要です。
想定される浸水深が深い場合
「3.0m以上(2階の床上まで浸水)」のように浸水深が深い区域では、建物全体に深刻な被害が想定されるため、購入を検討する層が極端に限られます。
浸水深が深くなるほど買い手の需要は絞られ、価格への下方圧力が強まります。
過去に浸水被害の履歴がある場合
ハザードマップはシミュレーションに基づく想定ですが、市場の評価には過去の事実がより重く反映されます。
短期間に複数回の浸水履歴がある場合は、土地の排水能力に根本的な課題があるとみなされ、相場より大幅に低い価格設定になる傾向があります。
浸水想定区域の物件をスムーズに売却するための準備
浸水想定区域内の物件でも、準備次第で取引を停滞させずに成約まで進めることは可能です。
ポイントは、買主の不安材料を先回りして解消しておくことです。
売却活動の初期段階からリスク情報を開示する
売却活動の初期段階から、ハザードマップの詳細、想定される浸水深、避難場所の情報を開示しておくことが重要です。
あらかじめ事実を透明化することで、リスクを許容できる買主を効率的に絞り込むことができ、契約直前の白紙撤回を防ぐことにつながります。
浸水深が浅いことや被害履歴がないことをアピールする
「0.5m未満(床下浸水相当)」であれば、止水板の設置などで被害を軽減できると判断されやすく、買主の抵抗感は限定的です。
また、過去数十年にわたり一度も浸水していない土地であれば、実績を根拠に買主の不安を和らげることができます。
自治体による治水対策の状況をアピール材料にする
近隣で調節池の建設や排水ポンプ場の増設、堤防のかさ上げ工事などが完了、あるいは進行中であれば、将来的な浸水リスクは実質的に軽減されていると判断されます。
ハザードマップの更新には時間がかかることが多いため、最新の整備状況を客観的な根拠として提示できれば、価格を維持するための有力な材料となります。
住宅ローン融資の実績がある金融機関を把握しておく
近年、一部の金融機関では浸水リスクが高いエリアの物件に対し、融資判断を厳格化する動きがあります。
買主が見つかっても本審査で否決されれば、売却計画は振り出しに戻ります。
対象エリアで融資実績のある金融機関を把握し、積極的なネット銀行や地方銀行の情報を買主に共有できる状態にしておけば、取引が途中で止まるリスクを減らせます。
建物側の浸水対策を売却時にアピールする
土地の指定状況は変えられませんが、建物側の対策が施されていれば売却の難易度は変わります。
基礎が高い設計(高基礎)である、止水板が設置されている、電気設備(室外機や受電設備)が浸水想定高より高い位置に配置されているといった事実は、買主にとって大きな安心材料です。
対策が施されている場合は、「リスクに対応済みの物件」として販売資料に明示することが、成約に近づくための条件となるでしょう。
買主が見つからない場合の解決策
仲介で一般の買主を探しても、ハザードマップの指定状況や過去の被害履歴が原因で成約に至らない場合があります。
ここでは買主が見つからないときにどうすればよいか見てみましょう。
専門業者へ買取依頼
一般の買主が懸念するのは将来への不安という感情面のリスクですが、不動産会社による買取の場合、判断基準は事業として利益が出るかどうかに置かれます。
専門業者は、リスクをあらかじめ織り込んだ上で合理的に購入を判断します。
住宅ローン審査による白紙撤回のリスクもないため、条件が厳しい物件でも確実かつ迅速に現金化できます。
ただし、買取価格は仲介での成約価格より低くなるのが一般的です。
価格よりも確実性やスピードを優先したい場合に適した選択肢といえます。
賃貸需要を見込んだ投資家への売却
浸水リスクがあっても、利便性が高く賃貸需要が根強いエリアは存在します。
自ら住む実需層には敬遠されても、収益性を重視する不動産投資家にとっては有力な検討対象となり得ます。
投資家は建物を賃貸用として活用する前提で、家賃収入から逆算する「利回りベース」で価格を算定します。
居住目的の買主と異なり、浸水リスクだけを理由に大幅な値引きを求められにくいため、専門業者への買取より高い価格で売却できる可能性があります。
まとめ
ハザードマップで浸水想定区域に指定されたからといって、それが売れない不動産になるわけではありません。
価格への影響度は、想定される浸水深、過去の浸水被害の有無、自治体の治水対策の状況によって異なります。
リスクの実態を客観的に把握し、売却活動の初期段階から情報を開示した上で、適切な価格設定を行うことが成約への近道です。
仲介で買主が見つからない場合でも、専門業者への買取や不動産投資家への売却といった選択肢があります。
当社では、浸水想定区域を含む災害リスクのある物件についても、独自の評価基準に基づき自社で直接買い取りを行っています。
浸水想定区域にあるお家の売却を考えたときは、ぜひご相談ください。



