心理的瑕疵物件とは?事故物件とは違うもの?所有するリスクについて解説

2025.01.31

「事故物件を所有しているが、売却できるのだろうか」と不安を抱えていませんか。物件の売買経験が少ない場合、心理的瑕疵物件とはどんな物件があてはまるのか、それ以外の瑕疵物件と何が違うのかなど、わからないことも多いのではないのでしょうか。

本記事では、心理的瑕疵物件とは具体的な特徴や事故物件との違いとあわせて解説します。売却方法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

心理的瑕疵物件とは?

心理的瑕疵物件とは、不動産の品質や設備自体に不備はなく、また実害のある要素ではないものの、人が心理的に嫌悪感を抱くおそれのある物件のことを指します。以下では、心理瑕疵物件の具体的な特徴を紹介します。

心理的瑕疵物件の特徴

心理的瑕疵物件は、人の主観にもよりますが、以下のような特徴が挙げられます。

●自殺・孤独死・事故死が起きた
●物件の周辺に嫌悪感を抱きやすい施設(お墓・刑務所など)がある
●近隣住民に問題のある行為をするものがいる

人の死が関わっている物件は「事故物件」と呼ばれます。亡くなった場所が部屋の中ではなく、敷地内や敷地周辺であっても、受け手側次第で心理的瑕疵に該当するか否かが決まります。

お墓や刑務所などが近隣にある場合、直接的影響はありませんが、周囲にあることが望ましくない施設として「嫌悪施設」とも呼ばれます。

近隣住民による問題行為は、一見わからないようで実害が起こる可能性が高い瑕疵にあたります。問題行為以外にも、反社会勢力の施設なども該当し、実害に発展する場合はほかの瑕疵に該当します。

心理的瑕疵は主観に依存するところも多く、個人によって判断が異なることがあります。所有している物件が心理的瑕疵物件にあたるかどうかわからない場合は、自己判断しないようにしましょう。

心理的瑕疵は、告知義務の発生期間に対する明確な基準がありません。告知義務とは、物件の過去に何らかの瑕疵があり、居住者に影響を与える可能性がある場合に事前に事実を伝える義務のことです。

社会に大きな影響を与えた事件に関わった物件であれば、何十年経っても告知義務があるとされたものもあります。実際には、それぞれの事例によって判断されますが、国土交通省ではガイドラインが設けられています。トラブルを回避するためにも、ガイドラインに従う方が安心です。

事故物件との違い

前述のとおり、事故物件は心理的瑕疵物件のひとつです。主に心理的瑕疵には3タイプありますが、人の死が関わっている心理的瑕疵物件を事故物件といいます。

死因によっては事故物件に該当しない場合もあります。たとえば、自然死や日常生活での不慮の事故死は事故物件にあたりません。ただし、長期間発見されなかったなどで特殊清掃が入った場合は事故物件として扱われます。

事故物件には告知義務が発生します。万が一、告知義務を怠った場合は契約不適合責任に問われ、買主から契約解除や損害賠償請求などが求められる可能性があります。売主が大きな損害を被ることになるため、契約前に告知して知らせることが重要です。

出典元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001427709.pdf

こちらの記事では、事故物件のリフォームについて解説しています。費用相場や業者選びのポイントも取り上げているためぜひあわせてご覧ください。

精神的瑕疵との違い

心理的瑕疵と物件情報によっては「精神的瑕疵」と記載されることもありますが、精神的瑕疵は心理的瑕疵と同じ意味です。

その他の瑕疵

心理的瑕疵以外にも、瑕疵には以下の3つがあります。3つの瑕疵にも同じように告知義務が発生しますが、基本的な期間は瑕疵が解消されるまでです。

この理由は、3つの瑕疵は物理的に解消する余地があるためと考えられます。これら3つの瑕疵をそれぞれ詳しく紹介します。

物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、不動産そのものにある重大な欠陥や破損などのことです。物理的瑕疵は建物だけでなく、土地にもあてはまります。

土地の物理的瑕疵は土壌汚染や地中にある障害物、地盤沈下などです。一方で、建物の物理的瑕疵には、雨漏りやシロアリの被害、建物の傾きや壁のひび割れなどがあてはまります。

心理的瑕疵とは異なり、物理的瑕疵は解消可能な瑕疵であり、リフォームや建て替えなどによって解決することが可能です。

物理的瑕疵は売主の目でわかるものもありますが、素人ではわからないものもあります。しかし、専門家が調査すれば比較的確認しやすい瑕疵のため、事前に調査しておけば契約後のトラブルは起きにくい瑕疵となります。

環境的瑕疵

環境的瑕疵とは、不動産そのものには問題ないものの、周辺環境に問題があるものを指します。たとえば、遊戯施設やごみ焼却場、高速道路などの施設が近隣にあることで、騒音や振動、異臭、日照、眺望の障害などの実害が起こっている状況などです。反社会的勢力の施設なども、近隣の治安悪化といった実害がある場合は環境的瑕疵に該当します。

環境的瑕疵は問題解決が困難なケースも多く、売却価格は一般物件よりも低くなることが一般的です。そのままでは住みたいと思える買主が現れにくいため、価格を下げなければ売却にはなかなか至りません。

告知義務があるとはいえ、心理的瑕疵物件と同様に基準は曖昧です。そのため、見た目でわからなければ告知せずに売却しようと考える売主がいるのも事実です。しかし、後に契約解除や損害賠償されるなどのトラブルに発展する可能性もあるため、告知義務は必ず守らなければなりません。

法律的瑕疵

法的瑕疵とは、法律や条例などの制限によって、自由な使用や収益が阻害されていることを指します。建築基準法や都市計画法、消防法に抵触しているため、法律的瑕疵物件は違法建築にあたります。

建築基準法は、建築物の敷地や構造、設備、用途に関する最低基準を定めている法律で、建ぺい率や容積率、接道義務など建物の安全性を確保するための基準です。

都市計画法は、都市の健全な発展と秩序のある整備を図って機能的なまちづくりを行うために定められた法律で、地域ごとに土地の利用用途が制限されています。

消防法は火災を予防と抑制を促し、火災から国民を保護するために定められた法律です。火災報知器やスプリンクラー、排煙設備、避難はしごなどの設置が義務づけられています。

これらの法律が制定された以降に建てられた物件には、基本的に法律的瑕疵は存在しませんが、制定前に建てられた中古物件などの場合は法律的瑕疵にあたる可能性があります。法律的瑕疵物件は、再建築不可などの制限がかけられているため、売却する場合は注意が必要です。

出典元:e-GOV法令検索「建築基準法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201/20240401_504AC0000000069#Mp-Ch_1
出典元:e-GOV法令検索「都市計画法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100#Mp-Ch_1
出典元:e-GOV法令検索「消防法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186#Mp-Ch_1

心理的瑕疵物件を所有するリスクは?

心理的瑕疵物件には、告知義務に違反すると契約解除されたり損害賠償請求を求められたりする以外にも不動産価値が下がる、リフォームや解体などの手間や費用がかかるリスクがあります。

心理的瑕疵物件は物理的に瑕疵を解消するのは難しいため、不動産価値が下がった状態での売却となります。心理的瑕疵物件の減額率は、どれだけ嫌悪感を抱きやすいかの程度によって変わってきます。

公益社団法人全日本不動産協会では、中古マンションの心理的瑕疵物件における売買価格への影響として、殺人などの深刻な事件では50%程度減額、自殺の場合は発見までの日数によって30%程度、または50%程度の減額を事例として挙げています。自然死であっても、発見までの日数を要した場合は10%程度減額の対応をしています。

そのままでは買い手がつかないと判断する場合は、なるべく心理的瑕疵の痕跡を残さないように、リフォームすることも必要です。もちろん、リフォームは売主負担になるため、売却するために費用が発生する形となります。

また、リフォームを実施しても売却が困難なケースや、リフォームに莫大な費用が発生するおそれがあるケースでは、解体して更地にした状態で売りに出すパターンもあります。ただし、解体すれば物件の形はなくなりますが、告知義務が消えることはありません。

そのため、土地を売却する場合も、市場価値よりも低く売却することになります。心理的瑕疵物件は、どんな状態で売りに出す場合でも大きなリスクをともなうため、定められている内容を把握して売買することが大切です。

出典元:公益社団法人全日本不動産協会「不動産取引における 心理的瑕疵について」(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001405335.pdf)

心理的瑕疵物件を売却する方法は?

心理的瑕疵物件を売却する方法には、不動産会社に仲介してもらう方法と買い取ってもらう方法の2つがあります。

不動産仲介は、物件の売買において一般的な方法で、市場相場に近い額で売れるため少しでも高く売りたい場合は不動産仲介が向いています。

ただし、いつ買主が現れるかわからず、とくに瑕疵のある物件は売却までに時間がかかる可能性があります。結果的に、買主を見つけるために市場価値よりも大幅に下げて売りに出すことも考えられます。

不動産買取は、不動産会社が買主となって物件を買い取る方法です。買主を探す必要がないため売れずに長期間悩む必要もないうえ、最終的にリフォームなどして売りに出す場合も、専門業者が対応してくれることが大半のため売主にリフォーム費用や手間が発生しません。

瑕疵物件専門の買取業者であれば買い取りに実績があり、取り扱いにも慣れているため売買に伴うトラブルも回避できます。専門的な知識がなくとも、手間をかけずすぐに手放せる不動産買取は、心理的瑕疵物件においておすすめの売却方法です。

まとめ

心理的瑕疵物件は不動産自体は問題ないが、住む人が心理的に嫌悪感を抱く物件のことです。事故物件にあたる自殺や孤独死、事故死が起きた物件や環境的瑕疵のある物件、近隣住民に問題のある行為をするものがいる物件などが心理的瑕疵物件にあたります。

心理的瑕疵物件は、市場価値よりも売却額が低くなるリスクや、売却までにリフォームや解体するための手間や費用がかかるリスクがある、売却しにくい物件ですが、

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