再建築不可物件とは?特徴と知っておくべきメリット・デメリット

2025.01.08

所有している物件がなかなか売れなくて悩んでいる方も多いでしょう。もしかすると、その物件は「再建築不可物件」かもしれません。この場合、価格を下げても買い手が見つかりにくいことがあります。

この記事では、再建築不可物件の定義や活用方法を紹介します。再建築不可物件のメリットとデメリットを理解して、上手に活用しましょう。

再建築不可物件とは?

再建築不可物件とは、現在ある建物を解体しても、新しい建物を建てられない土地のことを指します。どんな物件かを聞いただけでは「すでに建っているのになぜ建て替えられないのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

ここでは、再建築不可物件の具体的な定義や、存在する理由についてわかりやすく解説します。

再建築不可物件の定義

再建築不可物件は「都市計画区域」と「準都市計画区域のみ」に存在する、更地にしても新たに建物を建てられない土地のことです。これらの区域は「都市計画法」にもとづいて定められており、それぞれの特徴や条件があります。

都市計画区域とは、ひとつの都市として整備・開発・保全する必要のある地域です。区域内を促進すべきエリアと抑制するエリアに分けて、計画的な街づくりを進めます。

一方の準都市計画区域とは、都市計画区域以外にある、土地を利用するために整備する区域のことです。この区域は、大規模な開発が許可なく進まないように規制されています。どちらも都道府県知事によって指定されている区域です。

都市計画区域と準都市計画区域には、接道義務が設けられています。区域内で建物を建てるには、幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならず、これを満たせなければ、その土地に新たな建物は建てられません。

たとえ現在建っていたとしても、この条件を満たしていなければ新たに建てられない、これが再建築不可物件です。

出典:国土交通省「都市計画法」(https://www.mlit.go.jp/common/000029198.pdf

再建築不可物件が存在する理由

「建築基準法があるのに、なぜ再建築不可物件が存在するの?」と疑問に思う方も多いでしょう。その理由は、建築基準法が制定される前に建てられた建物にあります。

建築基準法が制定されたのは1950年、その後、都市計画法が1968年に施行されました。それ以前は、現在のような「接道義務」などの基準がなかったため、法律が整備される前に建てられた建物のなかには、接道義務を満たしていないものが存在します。

このような建物が建つ土地は、法律が施行された後も既存の建物の利用は認められています。しかし、新たに建物を建て替える場合には、現在の基準を満たさなければならないため「再建築不可物件」となるのです。

再建築不可物件のメリット

再建築不可物件は、新たに建築できない制約がありますが、必ずしも悪い物件とは限りません。ここでは、再建築不可物件のメリットを4つ紹介します。

価格が安い

再建築不可物件は、通常の物件と比べて価格が安く設定されています。そのままの状態では再建築できないため、新築物件や建て直しできる土地を探している方に販売することはできません。

しかし、再建築不可物件は買い手が見つからないわけではありません。極力費用を抑えて土地と建物を購入したいと考えている方にとっては、再建築不可物件はメリットがあると言えます。

たとえば、購入した物件を賃貸として活用する場合、購入費用が安かったからといって家賃を下げる必要はありません。近隣と住環境が変わらないようであれば、相場どおりの家賃で募集しても、借り手を見つけるのに苦労することは少ないでしょう。

このように、費用を抑えて不動産を購入し、賃貸運用を考える方にとって、再建築不可物件はメリットもある物件です。

固定資産税の負担を軽減できる

再建築不可物件は一般的な物件に比べて資産価値が低いと判断されるため、固定資産税の負担を軽減できる可能性があります。

固定資産税とは、毎年1月1日時点で住宅や土地などの固定資産を所有している方が納付する税金のことです。固定資産税は、対象の住宅や土地の評価額をもとに計算されます。固定資産税の計算方法は以下のとおりです。

固定資産税評価額×標準税率(1.4%)=固定資産税

資産価値の低い再建築不可物件は固定資産税評価額が下がるため、支払うべき固定資産税の金額が少なくなるのです。固定資産税は、固定資産を所有している限り払い続けなくてはならないため、再建築不可物件なら、税金の負担を大きく軽減できるでしょう。

また、抑えられる税金は固定資産税以外にも、都市計画事業や土地区画整理事業費用に充てるために課する税金である「都市計画税」の負担も軽減できます。

さらに、再建築不可物件を贈与する場合は贈与税、相続する場合は相続税としてかかる税金も抑えることが可能です。

リフォーム・リノベーションへの投資が可能

中古物件を購入した場合、物件価格に加えて修繕費用がかかります。物件の状態にもよりますが、物件購入費用とリフォームやリノベーションの費用を合わせて、高額な初期費用が必要です。

しかし、再建築不可物件であれば物件費用を抑えられるため、初期費用の負担が軽くなります。また同じ予算内であれば、再建築不可物件の方が修繕にかける費用を多く充てられるため、理想の住宅により近づけられるでしょう。

賃貸や売り物件として出す場合でも、リフォーム・リノベーションにこだわった物件の方が入居者が見つかりやすくなります。

敷地を拡張できる

再建築不可物件の隣の土地を所有している場合、安く敷地を拡張できるメリットがあります。売主との交渉次第では、相場の6〜7割程度 で売買されるケースもあるでしょう。

一般的に敷地の拡張は、費用面から見ても容易ではありませんが、再建築不可物件を利用することで、比較的安く土地を広げられます。また、敷地を拡張することで、再建築不可物件でも再建築可能になる場合もあるでしょう。

再建築不可物件のデメリット

再建築不可物件にはメリットがある一方で、デメリットもあると覚えておきましょう。しかし、これらのリスクは工夫次第で回避できる場合もあり、適切に活用すれば魅力的な物件となる可能性もあります。後述する活用方法と合わせて確認しましょう。

建物を建て替えられない

再建築不可物件の最大のデメリットは、建物を建て替えられないことです。新築・改築・増築・移転が認められないため、建物の老朽化が進んだり、生活スタイルの変化に伴って改築したりしたい場合でも、それができないという点が大きなデメリットです。

再建築不可物件では、増築や改築、大規模な模様替えができません。これは建築確認を受けられないためです。たとえば、延べ床面積を増やすリフォームや、平屋を2階建てまたは3階建てにする工事などができないという制約があります。

このように、建物の大規模な変更ができない点は、再建築不可物件を所有する際に考慮すべき重要なリスクです。

住宅ローンが利用できない

もうひとつの大きなデメリットは、住宅ローンを利用できない場合があることです。再建築不可物件は物件の担保価値が低いため、審査が厳しくなります。金融機関によっては、再建築不可物件の住宅ローン利用を受け付けていないところもあるほどです。

そのため、再建築不可物件を購入する場合は、現金で一括購入する必要があります。一括購入が難しいようであれば、一般的な物件を住宅ローンで購入する、もしくは物件の購入自体を見直す必要もあるでしょう。

住宅ローンを利用しなくても、用途が自由なフリーローンを利用する方法もあります。ただし、フリーローンは金利が高いため、返済計画に無理がないか慎重に見極めることが重要です。

買い手が見つかりにくい

やはり、一般的な物件と比べると再建築不可物件は買い手が見つかりにくい傾向にあります。価格を最重要視していない場合、再建築不可物件の内容を知ると購入に踏み切れない人が多いのが現状です。

そのため、再建築不可物件を売る際には、相場から大きく値下げする必要がある場合もあります。しかし、あまりに価格を下げすぎると、売主にとって損失が大きくなる可能性もあるため、値段設定には慎重さが求められます。

また、物件投資を目的とした投資家にとっても、再建築不可物件は投資対象として選ばれにくいことが多いです。このように、再建築不可物件は売却時に買い手を見つけるのが難しく、長期間売れないリスクがあります。

災害リスクが高い

再建築不可物件は、災害リスクが高い可能性があります。これは、再建築不可物件の多くが建築基準法が制定される前に建てられた物件であるため、現在の耐震基準に適合していないことが原因です。

万が一倒壊や焼失した場合でも、再建築不可物件は再建できないため、完全に更地にしても住宅用として販売することはできません。この点は、物件所有者にとって大きなリスクとなります。

また、別の用途で再利用を考える場合でも、再建築不可物件は接道義務を満たしていない場合が多いため、駐車場などの商業用途での利用は難しいことが多いです。

このように、再建築不可物件は災害によるリスクが大きく、更地後の利用方法にも制約があるため、慎重に扱う必要があります。

地質調査が難しい場合がある

再建築不可物件は接道義務を満たしておらず、敷地にゆとりがない土地のため、地質調査が難しいケースもあるでしょう。

地質調査とは、地質・土質・基礎地盤・地下水など不可視部分について調査し、明らかにすることです。地質調査することで、その土地に建物を安全に建てられるかを判断できます。しかし、地質調査ができない場合、土地の安全性が不明なままとなり、耐震補強やリフォームなどが不可能になることがあります。

また、再建築不可物件はリフォームやリノベーションをして活用する場合が多いため、地質調査ができるかどうかは重要な要素です。

再建築不可物件のほかにも、さまざまな理由で訳あり物件に悩む方が多いでしょう。こちらの記事では、訳あり物件の定義について解説しています。実際の事例や告知義務も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

再建築不可物件を活用する方法

再建築不可物件にはいくつかのデメリットがありますが、工夫をすれば新たな活用方法を見出すことが可能です。ここでは、再建築不可物件を活用する方法について解説します。

再建築ができる状態にする

再建築不可物件でも、以下の方法で再建築が可能になる場合があります。

●隣の土地を買う
隣接する土地と合わせて接道義務を満たせれば、再建築が可能になります。隣地の所有者が売却に応じるか、購入できる予算があるかを確認し、接道義務がクリアできるかどうかをチェックしましょう。

●位置指定道路を作る
位置指定道路とは、幅員が4m以上ある私道のことで、建築基準法を満たす道路です。位置指定道路を作るスペースが確保可能であれば、道路を作った後に建築可能となります。しかし、作るスペースがないために再建築不可物件となっていることが多いため、実際には難しいケースが大半です。

●セットバックを行う
セットバックとは、敷地の一部を後退させて接道義務を満たすための道路幅を確保する方法です。もとの建物よりも建築面積が狭くなるものの、再建築不可物件を新たに建て替えることができます。また、幅4m未満の道でも、自治体が指定した道路であれば、接している建物の再建築が可能です。

●43条但し書きの許可を得る
43条但し書きとは、土地周辺に広い空き地などがある場合に、接道義務を果たしていなくても許可を得て建築できる制度です。建築基準法にある「43条但し書き道路」の申請をおこない、自治体の許可を得られた場合、再建築が可能になります。

これらの方法を検討し、再建築不可物件が将来的にどのように活用できるかを確認しておくことが重要です。

更地にして土地活用を行う

再建築不可物件は住宅用として活用するのは難しい場合がありますが、住宅以外の用途であれば、更地にして比較的少ない手間で活用できます。

車などを使っての出入りが難しい土地でも、駐輪場やバイク置き場として活用できます。駅近な土地なら需要も高いでしょう。また、シェアサイクルスペースとして活用するのもおすすめです。

ただし、これまで住宅用として利用していた土地の場合、住宅を取り壊すことによって固定資産税が上がります。上記のような活用を検討するなら、固定資産税を考慮してもメリットがあるかを判断して実行しましょう。

売却を検討する

もし再建築不可物件を自分で活用することが難しいと感じた場合、売却を検討するのもひとつの方法です。再建築不可物件や活用が難しい物件を買取ってくれる不動産会社も存在します。

こちらの記事では、訳あり物件を売却する方法について解説しています。売却するメリットやコツも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

再建築不可物件は、現在ある建物を解体しても、新たな建物は建てられない土地のことです。建築基準法ができる前に建てられた物件であり、接道義務が満たされていないため存在します。

再建築ができないことや、住宅ローンが利用できない、買い手が見つかりにくいなどのデメリットがありますが、購入費用を抑えたり、固定資産税の負担を軽減したりといったメリットもあります。

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