事件・事故・孤独死などが発生した事故物件の原状回復を行うのが「特殊清掃」です。一般的な物件に比べて価格が低くなりやすい事故物件でも、特殊清掃を施すことで、売却価格を最大化できる可能性があります。
しかし、特殊清掃という言葉を聞いたことがあっても、具体的な仕事内容や費用について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
本記事では、特殊清掃の作業内容や費用の内訳を紹介しています。また、信頼できる業者の選び方や注意点も解説しているため「どの業者を選ぶべきか?」「特殊清掃で気をつけるべきポイントは?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
事故物件の特殊清掃、専門業者が必要な理由とは?
事故・事件・孤独死などが発生した事故物件は、通常の清掃では対応できないため、一般的なハウスクリーニングとは異なる「特殊清掃」が必要です。以下で、事故物件に特殊清掃が必要な理由を解説します。
専門的な清掃が必要なため
事故物件の清掃は、特殊な技術を持つ特殊清掃業者に依頼する必要があります。事故現場では、血液や体液が床や壁に染み込んでいる、または強い腐敗臭が発生しているケースが多いためです。
一般的なハウスクリーニングでは、こうした汚れや臭いを完全に取り除くのは極めて困難なため、清掃後も腐敗臭や汚れが残ってしまう可能性があります。結果として、最終的に特殊清掃を依頼せざるを得なくなり、余計な費用がかかることもあるでしょう。
最初から特殊清掃業者に依頼することで、無駄な手間やコストを抑え、より確実に原状回復を進められます。
腐敗臭の完全除去のため
事故物件に染みついた腐敗臭は、一般的な清掃では完全に取り除くことが難しいものです。人の体は死亡後2〜3日で腐敗が進み、発見が遅れると強烈な臭いが床・壁・天井などの建材の奥深くまで浸透してしまいます。市販の消臭剤を使用しても、臭いを完全には消せません。
特殊清掃では専用の薬剤や機材を使用し、高度な除菌処理を施すことで腐敗臭を徹底的に除去します。臭いは時間が経つほど建材に定着し、簡単には消えなくなってしまうため、できるだけ早く特殊専門業者に依頼することが大切です。
精神的負担を軽減するため
特殊清掃業者に依頼することで事故物件に直接関わる機会を減らし、精神的な負担を軽減できます。孤独死や自殺、事件が発生した物件では、強い異臭や害虫の発生、散乱した遺品など、現場の状況が厳しいことも少なくありません。
また、亡くなった方と関わりが深い場合は、現場に足を踏み入れることで故人を思い出し、気持ちが沈んでしまうこともあるでしょう。
特殊清掃業者に依頼すれば、こうした辛い現場を直接目にすることなく、必要最小限の関与ですみます。心理的負担を抑えることで、修繕や売却などの次のステップにスムーズに進むことが可能です。
悪い噂の広がりを防止するため
特殊清掃業者に依頼することで、事故物件に関する悪い噂の拡散を防げます。清掃が不十分なまま放置すると、異臭や害虫の発生が近隣住民に気づかれ「あの部屋で事件があったらしい」「放置されていて不衛生だ」といった噂が広まりやすくなります。
一度広まった噂は簡単には消えず、物件のイメージが大きく損なわれるおそれがあります。売却が難しくなる可能性があるでしょう。こうしたリスクを避け、物件の価値を維持するためにも、特殊清掃業者による適切な清掃と消臭・除菌対策が不可欠です。
隣人への配慮のため
事故物件を適切に清掃することは、周囲に暮らす人への配慮のためでもあります。不十分な清掃のまま放置してしまうと、強烈な異臭が周囲に漏れて、隣人に迷惑をかけるおそれがあります。腐敗臭は、換気口や窓を通じて広がりやすいためです。
また、遺体の発見が遅れた場合、ハエやウジ虫などの害虫が大量に発生する可能性があります。建物の隙間から逃げ出した害虫が近隣に侵入すると、衛生的な問題が発生し、住民とのトラブルにつながりかねません。
特殊清掃業者に依頼すれば、専門的な消臭・除菌処理や害虫駆除を徹底してくれるため、異臭や害虫の発生を防ぐことが可能です。適切な清掃を行うことで、近隣住民への影響を最小限に抑え、安心して物件の売却を進められます。
将来的な建て替えリスクを回避するため
特殊清掃を依頼することで、将来的な建て替えリスクを回避できます。亡くなった方の体から発生する死臭は、市販の消臭剤や通常の清掃では完全に除去できません。
そのまま放置してしまうと、異臭が害虫を引き寄せ、ハエやウジ虫が大量発生する可能性があります。害虫が増えると悪臭がさらに強まり、床や壁だけでなく、建物の構造部分にまでダメージを与えてしまいかねません。
建物への被害が広がってしまえば、通常のリフォームでは対処できず、建て替えが必要になる可能性もあります。建て替えには解体費用や新築費用など多額のコストがかかるうえ、工事期間中は土地を有効活用できなくなります。
こうしたリスクを避けるためにも、事故物件となった際にはできるだけ早く特殊清掃を依頼し、建物へのダメージを最小限に抑えることが大切です。
こちらの記事では、事故物件の告知義務について解説しています。必要なケースや違反した際のリスクも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
事故物件の特殊清掃で行われる作業内容
特殊清掃では物件を原状回復させるために、専門的な機材や薬剤を使用し、血液や体液などの汚れや強烈な腐敗臭など、一般的な清掃では対応できない汚れや臭いを徹底的に除去します。
また、家財の撤去や遺品整理も特殊清掃業者の仕事です。以下では、特殊清掃の具体的な作業内容について紹介します。
体液や汚物の除去と洗浄
事故物件では遺体から出た体液や血液が床や壁に染み込み、強い臭いが発生します。とくに、遺体が長期間放置されていた場合、建材の奥深くまで体液が浸透してしまうため、通常の清掃では完全に取り除けません。
特殊清掃では専用の薬剤や機材を使い、体液や血液を徹底的に洗浄します。血液にはタンパク質が含まれているため、次亜塩素酸やオキシドールなどの消毒剤を使用し、完全に除菌・消臭を行います。
また、清掃後に臭いが広がらないよう、汚染された布団や床材は適切に処理し、密封して廃棄します。作業には1〜2時間ほどかかることが多く、専門的な技術と経験が必要です。スムーズに清掃を進めるためには、事前にどのような作業が必要かを業者に相談しておくことが肝心です。
殺菌と腐敗臭の消臭
遺体の腐敗や体液・血液の流出、ゴミの散乱などによって、強い悪臭が発生しているケースがあります。特殊清掃では、悪臭を取り除くために、オゾン脱臭機や専用の消臭剤を使用します。
オゾン脱臭機とは「オゾン(O₃)」という強い酸化作用を持つ気体を利用し、臭いの原因となる物質を分解して脱臭・除菌するための機械です。オゾンが悪臭のもととなる成分と化学反応を起こすことで、臭いのしない別の物質へと変化させます。
オゾンには細菌やウイルスを除去する効果もあるため、抗菌・防カビにも役立ちます。そのため、強い臭いがこびりついた事故物件でも、オゾンを使うことで効果的に脱臭・除菌が可能です。
ただし、臭いが壁や床の奥深くまで染み込んでしまっている場合は、オゾン脱臭機や専用の消臭剤を使用しても臭いが落ちない可能性があります。壁紙の張り替えや床材の洗浄・解体、さらに特殊なコーティングを施す必要があります。
害虫処理・駆除
遺体が腐敗すると、ウジ虫やハエ、ゴキブリなどの害虫が発生します。害虫は遺体に卵を産みつけ、短期間で大量に繁殖してしまうため、放置すると被害が部屋全体に広がります。また、外へ逃げ出した害虫が感染症を引き起こすリスクもあるため、早急な駆除が必要です。
害虫駆除の手順は次のとおりです。
1.害虫の駆除
室内の害虫を専用の殺虫スプレーを使用して駆除。
2.消毒・除菌
害虫が発生した場所に強力な消毒剤を散布し、菌の繁殖を防ぐ。
3.汚染部分の撤去・清掃
害虫の発生源となった床や壁を撤去・洗浄し、再発を防ぐ。
4.リフォーム(必要に応じて)
害虫の被害がとくにひどい場合は、リフォームが必要となる。
家財の撤去・遺品整理
事故物件の家財撤去や遺品整理は、通常の片付けとは異なります。遺体から出た体液や血液が染み込んだ遺品、腐敗臭が染みついた家具などが含まれるため、感染症のリスクがあり、取り扱いには慎重な対応が必要です。そのため、専門的な処理を行いながら作業を進めます。
特殊清掃における遺品整理の流れは以下のとおりです。
1.汚染された遺品の処理
体液や腐敗臭がついた遺品は、専用の袋に密封し、適切な方法で廃棄する。
2.貴重品や思い出の品の仕分け
遺族の意向を尊重し、残すものと処分するものを丁寧に分別。
特殊清掃の遺品整理を行うことで、遺族の負担を軽減できます。感染症対策を徹底するためにも、専門業者に依頼することが重要です。
事故物件の特殊清掃の依頼の流れと費用
特殊清掃は費用が高額になることもあるため、相場を理解し、適正な価格で依頼することが重要です。また、不当な追加請求やトラブルを防ぐためにも、事前に依頼の流れやポイントを把握しておくことも大切です。以下では、特殊清掃の依頼の手順や費用の目安について紹介します。
特殊清掃の依頼の流れ
特殊清掃を依頼するときは、事前に手順を理解しておくことでスムーズに進められます。ここでは、特殊清掃の具体的な依頼の流れを解説します。
警察に通報
孤独死や事件・事故が発生した場合、最初に警察へ通報し、到着を待ちます。警察は遺体の確認や現場の調査を行い、事件性の有無を判断します。検証が完了するまでは、遺体や部屋のものには触れられないため、室内の清掃作業は始められません。
特殊清掃会社へ連絡
警察の検証中に、特殊清掃業者に連絡します。遺体発見から時間が経っている場合、腐敗の進行を防ぐためにもできるだけ早く依頼することが重要です。
現場での見積もり・作業内容の説明
警察からの立ち入り許可が出たら、業者に現場を確認してもらい、必要な作業内容の説明を受けます。どのような清掃が必要なのかを聞き、見積もりを出してもらいましょう。料金や作業内容を入念に確認し、不明点があれば遠慮せずに質問するようにしましょう。
特殊清掃の実施
見積もりの内容に問題がなければ業者と契約を結び、清掃作業を進めてもらいます。
必要に応じて解体・リフォーム作業を行う
特殊清掃を行っても腐敗臭が残っている場合は、リフォームや解体が必要になる可能性があります。リフォーム・解体が必要になるのは以下のケースです。
・体液や血液が床や壁の奥まで浸透している
・浴室の排水管や隙間に臭いが残っている
・害虫が発生し続けている
・壁や床の素材に臭いが染み込んで取れない
汚れが目に見えなくても、腐敗臭の成分が、壁や床に付着していることがあり、壁紙や床材の張替が必要となります。また、浴室で亡くなった場合は、体液や血液が排水管に入り込んでいる可能性があり、通常の清掃では取り除けないケースが多いです。
臭いを完全に取り除くためにも、清掃後の状況を確認し、必要に応じてリフォームや解体を検討するようにしましょう。
状況確認・作業終了
清掃作業が終われば、業者立ち会いのもとで仕上がりを確認します。汚れや臭いが除去されているか、見積もりどおりの作業が行われたかをチェックし、問題がなければ作業完了となります。
特殊清掃にかかる費用の目安
特殊清掃の費用は、部屋の広さや汚れの程度によって異なります。以下は、間取りごとの費用と作業時間の目安です。
間取り | 費用の目安 | 作業時間 |
---|---|---|
ワンルーム・1K・1LDK | 3~30万円程度 | 1~3時間 |
2K~2LDK | 15~50万円程度 | 4~8時間 |
3K~3LDK・4LDK以上 | 30~80万円程度 | 6~12時間 |
作業内容別の費用の目安は以下のとおりです。
作業内容 費用の目安
床上の清掃 | 3万円~ |
---|---|
消臭剤・除菌による散布 | 1万円~ |
畳の撤去 | 3,000円~ |
脱臭・消臭 | 3万円~ |
害虫駆除 | 1万円~ |
人件費 | 2万円~ |
特殊清掃の費用が変動する主な要因は、以下のとおりです。
・汚れや臭いの状態
遺体の発見が遅れると汚染が進み、清掃にかかる手間が増えるため、費用も高くなる。
・処分する家財の量や種類
ゴミが多い場合や、特殊な処分が必要な場合は、追加費用が発生する。
・作業内容の違い
リフォームが必要になると、費用が高額になる。
・業者ごとの料金設定
業者によって料金体系が異なるため、事前に見積もりを取ること。
汚染がひどく建材の交換が必要な場合、費用が大幅に増える可能性があります。不要な出費を防ぐためにも、業者に早めに相談することが重要です。
信頼できる特殊清掃業者を選ぶためのポイント
特殊清掃は専門的な技術が求められる作業のため、業者選びを間違えると思わぬトラブルが発生する可能性があります。
高額な請求や不十分な作業を避けるためには、信頼できる業者を見極めることが大切です。ここでは、安心して依頼できる特殊清掃業者を選ぶポイントを紹介します。
資格と登録の確認
特殊清掃は専門的な知識や技術が必要な作業です。とくに、解体作業や廃棄物の処理が必要になることもあるため、適切な資格や登録を持つ業者を選ぶことが大切です。
事故物件では、血液や体液が床や壁の内部にまで染み込んでいる場合があります。汚れや臭いを完全に除去するためにも、一部を解体・洗浄する必要があります。
解体作業を行うには、物件のある都道府県での「解体工事業の登録」が必要です。万が一、登録のない業者が解体作業を行うと違法となり、確実な清掃と消臭が期待できない可能性があります。清掃だけでなく、必要に応じて適切な解体作業ができる業者を選ぶことが大切です。
また、遺品整理を進めると、大量の不要物が出てきます。不要物の処理のために、業者が「一般廃棄物収集運搬業」の許可を持っているかも確認しておきましょう。万が一、許可を持っていない場合でも、許可を持つ業者と提携しているケースもあるため、確認しておきましょう。
見積もり内容を確認
特殊清掃の料金は、作業内容によって大きく変わります。見積もりには、消臭作業、害虫駆除、遺品整理のような具体的な作業内容が記載されているかを確認しましょう。
「一式」や「清掃費用代」といった曖昧な表記には注意が必要です。作業内容が明確でないと、追加費用を請求される可能性があります。
また、信頼できる業者は現場を確認したうえで、無料で見積もりを出してくれます。電話だけで見積もりを決める、または見積もりに料金がかかる業者は悪質な可能性があるため、避けた方が無難です。
実績の確認
業者を選ぶ際は、あらかじめ実績を確認しておきましょう。特殊清掃は費用が高額になることもあり、安さだけで業者を選ぶのは危険です。
経験の浅い業者に依頼すると、臭いや汚れが十分に除去されない可能性があります。とくに、低価格をアピールする業者のなかには、追加費用を請求するケースもあるため注意が必要です。
また、遺品整理の際に貴重品や思い出の品を確認せずに処分してしまう業者もいるため、慎重に選びましょう。トラブルを避けるためにも、事前に業者のホームページで以下のような内容を確認することが大切です。
・過去にどのような現場をどの程度経験しているか。
・創業年数。
・消臭・害虫駆除・感染症予防などの作業内容、作業時間、作業員の人数など、具体的なサービスが明記されているか。
・料金が明確に記載されているか。
業者のホームページをチェックし、実績や対応力を確認してから依頼することが大切です。
こちらの記事では、事故物件の売却について解説しています。相場や売却のコツも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
特殊清掃を行うことで、近隣住民からのクレームを防ぎ、物件の売却価格を高く保てる可能性があります。依頼する際は見積もりの内容が明確か、業者に十分な実績や資格があるかを確認し、納得できるまで契約しないようにしましょう。
信頼できる業者を選ぶことでトラブルを回避し、安心して作業を任せられます。費用の安さだけで判断せず、経験豊富で信頼性の高い業者を選ぶことが大切です。
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