訳あり物件とは?該当事例と売主の告知義務についても紹介!

2024.12.05

訳あり物件の売却を検討している方は、なかなか売れないのではないかと不安に感じることが多いでしょう。訳あり物件と聞いて「室内で嫌なできごとがあった物件」といったイメージを持つ方もいます。

また、告知義務が必要かなど詳しく知らない方も多いでしょう。

この記事では、訳あり物件の定義や事例について紹介します。訳あり物件を売りたいときのポイントや告知義務についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

訳あり物件の定義とは

「訳あり物件」とは、住む上で何らかの問題がある物件のことです。しかし「訳あり物件」という言葉に明確な定義はなく、どんな物件がそれに該当するかは人によって異なります。そのため、訳あり物件とされる理由はとても幅広いです。

一般的に、訳あり物件は「瑕疵」がある物件を指します。「瑕疵」とは、欠陥や傷、建物が本来備えるべき基準を満たしていないことです。ここでは、訳あり物件の瑕疵の種類について紹介します。

訳あり物件の種類

訳あり物件は、抱えている問題の種類によって、主に以下の4種類があります。

●心理的瑕疵物件
●法的瑕疵物件
●環境的瑕疵物件
●物理的瑕疵物件

瑕疵物件といっても、買主にとって居住するうえで問題になるのかは大きく異なります。ここでは、訳あり物件となる、4種類の瑕疵物件を解説します。

心理的瑕疵物件

心理的瑕疵物件とは、居住者に嫌悪感などを与えて心理的に支障がでる可能性のある物件のことです。一般に、訳あり物件は心理的瑕疵物件を意味することが多いです。

心理的瑕疵物件には「事故物件」も含まれます。事故物件とは、過去に物件で自殺や殺人、事故死など、事故や事件で人が亡くなった物件のことを指します。心理的な影響が目に見えるものでなく、客観的に判別しにくいことから、心理的瑕疵の明確な基準は存在しません。

また、近隣や自分が住んでいるマンション内に反社会的勢力の施設がある物件も、心理的瑕疵物件のひとつです。

法的瑕疵物件

法的瑕疵物件とは、建築基準法、消防法、都市計画法などの法律の基準を満たしていない物件のことです。

建築基準法とは、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律です。たとえば、建ぺい率や容積率、防火規制や接道義務などに違反している場合や、建物構造上の安全基準を満たしていない場合があげられます。

消防法とは、火災の予防・警戒・鎮圧や、災害等による傷病者の搬送を適切に行うため、建築物などについて防火・消防上必要な規制を定めた法律です。たとえば、消火器・火災報知器・スプリンクラー・防火扉・避難ハシゴなどの防火設備の設置義務に違反している場合があげられます。

都市計画法とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るためのもので、施設の整備や市街地の開発に関するルールが設けられています。たとえば、建物を建てることが原則許されない市街化調整区域内の物件である場合があげられます。

建物に関する建築基準法・消防法・都市計画法はたびたび法改正されているため、過去に建築した建物には現在の基準を満たしていないものがあります。これを「既存不適格物件」といい、違法物件として取り扱われないため注意が必要です。

環境的瑕疵物件

環境的瑕疵物件とは、周囲の環境要因によって不快感を持つ可能性のある物件のことです。具体的には、以下の内容が挙げられます。

●ゴミ処理場や工場などの施設が原因による異臭が漂う
●葬儀場や墓地などがある
●鉄道や高速道路などの振動・騒音が目立つ

ただし、これらに嫌悪感を抱くかどうかは、個人差が大きく生活に影響があると判断しにくいため、明確な基準は設けられていません。そのため、契約書の書面に明記されることは少ないです。

物理的瑕疵物件

物理的瑕疵物件とは、物理的な不具合や欠陥のある物件のことです。物理的なものには以下のようなものが挙げられます。

●建物への物理的瑕疵
雨漏り・水漏れ・床下浸水
シロアリ被害による建物強度の低下

●土地への物理的瑕疵
地盤が不安定
土壌汚染が生じている

このように、物理的瑕疵とは経年劣化が原因でない建物の機能低下や土地の問題です。日常生活を送る上で物理的な支障の出る可能性のある物件は、物理的瑕疵物件として申告する必要のある可能性があります。

しかし、建物の築年数が古いことが原因で機能が低下していることが明らかな場合「瑕疵物件」ではないと判断されることもあります。

訳あり物件とされる事例

実際に訳あり物件とされる事例はどのようなものがあるのでしょうか。実際に居住してからでないと気づきにくいものもあるため、事前に確認しておきましょう。

隣人との人間関係

隣人がどんな人物かによって、住んでからトラブルになるケースは少なくありません。音楽などの生活音がうるさくて日常生活に支障が出る、神経質な隣人のため少しの物音にもクレームをつけてくるなど、さまざまなトラブルが起こるケースもあります。

また、隣人だけでなく同じ建物内の住人がルールを守らないなど、入居者全体の問題に発展するケースもあるでしょう。

しかし、これは物件自体もしくは周辺環境の問題ではなく、人間関係が原因です。隣人トラブルは環境瑕疵物件にあたりますが、どのようなトラブルが該当するのか明確な定義はありません。

騒音の問題

建物内ではなく、立地による騒音問題を抱えている物件もあります。たとえば、線路沿いの建物なら定期的な列車の通過音、繁華街近くの物件なら人の出入りや施設から発生する音など、生活音以外の騒音が気になる場所に建つ物件もあるでしょう。

繁華街や商業施設などが近くにある物件なら、騒音以外にも夜間の照明に悩まされることもあるかもしれません。騒音や明かりによるストレスが夜間も続くと、眠れないなどの心身に支障をきたす可能性もあります。

地域環境の問題

地域環境の問題には、土壌汚染地域や浸水地域に関するものが多いです。

土壌汚染地域とは、土壌汚染対策法の指定地域のことを指します。物件が汚染地域に建てられているかどうかは、土地利用履歴や地図、台帳の閲覧などから簡易チェックが可能です。

浸水地域とは、河川の氾濫などにより浸水するおそれのある地域のことで、ハザードマップから確認できます。

地域環境の問題は、水害や健康被害などのトラブルになるリスクがあります。これらの対象地域は随時更新されるため、最新の状態を確認しましょう。

法律の問題

築年数が古い物件の場合、現在の法律が守られていない場合があります。これは法的瑕疵物件にあたりますが、建築時にはなかった法律のため、建物を賃貸として貸し出すことは禁止されていません。

また、近年建てられた物件であっても、建築ミスや違法建築によって法的に問題のある物件になっていることもあります。入居した物件が違法建築だった場合、地震で建物が傾いたり、火事が起きたとき火の回りが早かったりするリスクがあります。

居住期間の制限

賃貸物件のなかには、居住期間が制限されている「定期借家」の物件があります。居住できる期間以上に住み続けることはできないため、期限がくれば退去しなければいけません。また、定められた期限より短く契約解除することもできず、通常の賃貸とは異なります。

大家の都合のこともありますが、なかには心理的瑕疵物件のために、あえて設けられていることもあります。

事故や事件などにより人が亡くなった物件には告知義務が発生します。しかし、心理的瑕疵物件となっても、その後に入居者がいれば次に貸し出すときの告知義務はなくなるケースもあるのです。

そのため、一度訳あり物件の期限付き物件として安く貸し出し、その後一般の物件として、元の賃料に戻して貸し出すこともあります。

訳あり物件を売りたいときのポイント

訳あり物件だからといって、売却できないわけではありません。訳あり物件を売りたいときのポイントは以下のとおりです。

●相場よりも価格を下げる
●瑕疵部分を解消する
●解体して更地にする
●業者に依頼する

訳あり物件をメリットと感じる人もいるため、ポイントを押さえて物件を売却しましょう。

相場よりも価格を下げる

訳あり物件は通常、市場価格よりも安く売りに出されることが多いです。価格を下げることで、買主にとって負担が減り、訳あり物件でも購入を検討しやすくなります。とくに事故物件の場合、自殺があった場合は約3割、殺人や他殺があった場合は約5割の値引きがされることもあります。

価格を下げると売却による収入は減りますが、迅速かつ効果的に売却する方法といえます。早く物件を手放したい方は、まずは価格を引き下げる交渉から始めるとスムーズに売れる可能性が高まります。

瑕疵部分を解消する

瑕疵部分を解消できる物件は、売却前に解消することで市場価格に近い金額で売却できます。

たとえば、物理的瑕疵物件の場合、雨漏りや水漏れは、改修によって解消可能です。ただし、補修するには費用が発生するため、トータルで考えて解消することに売主にとってメリットがあるかを確認しましょう。

また、心理的瑕疵物件であれば、特殊清掃を施すことで、買主が感じる瑕疵を軽減させることができるでしょう。

解体して更地にする

このままの状態での売却は難しいと判断する場合は、解体して更地にする方法もあります。しかし、心理的瑕疵物件の場合、更地にしても告知義務が消えるわけではない点に注意しましょう。

たとえ建物が新しくなったとしても、心理的瑕疵に値する事案が発生した土地に建てられた物件ということに、抵抗感を抱く方もいます。

このようなことから、更地にしても価格を上げられるとは限らない点に注意しましょう。ただし、物理的瑕疵物件の場合、細かい改修をいくつも行って物件の価値を上げるよりも、一度更地にして新たに建て直す方がコスパのよい場合もあります。

また、更地にした後は建物を建て直すだけでなく、駐車場として利用することも可能です。コインパーキングや駐車場などは、立地に対する評価が高く、人の感受性が重要視される用途ではないため、心理的瑕疵があっても売れる可能性があります。

業者に依頼する

不動産の売却方法には、不動産仲介業者に売却活動を依頼する「仲介」と、専門の不動産買取業者に直接買い取ってもらう「買取」があります。とくに、不動産買取業者のなかでも訳あり物件に特化した業者に依頼すると、早く売却できる可能性があります。

訳あり物件を売却したいのであれば「買取」がおすすめです。仲介で依頼した場合、訳あり物件はなかなか売却できません。価格が安くても、マイホームとして訳あり物件を購入するのは、抵抗感がある方が多いのが現状です。

訳あり物件の買取なら「INTERIQ」がおすすめです。「INTERIQ」では、一度断られた物件でも買取が可能です。事故物件やゴミ屋敷、需要のないエリアなどの物件でも買取ります。

訳あり物件の売買における告知義務

訳あり物件を売却する際には、訳あり箇所に対して告知義務が発生します。告知義務とは具体的にどんなものか、どこまでが告知義務に該当するかなど、詳細をみていきましょう。

告知義務とは

告知義務とは、物件にどんな瑕疵があるのかを買主に伝えなければならない、売主への義務です。ただし、売主が直接買主に伝えるのではなく、売買契約での重要事項説明書などに記載されており、仲介する不動産会社から伝えられます。

告知義務を怠った売主に対する買主の損害賠償請求や契約解除請求が認められたケースもあるため、必ず明記しましょう。

心理的瑕疵物件の判断は難しい

心理的瑕疵物件は、心理的に購入をためらう可能性のある物件です。心理的にストレスを感じるかは個人によって異なるため、どこからが告知義務にあてはまるのか、判断するのは難しいでしょう。

判断基準が曖昧なため、人が亡くなった物件を売却しようと考えている方は、告知義務が生じるかを不動産屋に確認しておく方がよいでしょう。

告知義務に該当する場合

原則的には、住む人の安全性に影響を及ぼしたり、買主側が購入への判断に重要な影響を及ぼしたりすると考えられるものは、告知義務にあたります。たとえば、法的瑕疵物件は災害時などに大きな被害を及ぼす可能性があるため、必ず告知しなければいけません。

また、住んでみないとわかりにくい環境的瑕疵物件や日常生活に負担を与える可能性のある物理的瑕疵物件も、告知義務事項として記載されるでしょう。

ただし、告知義務は明確に定められているわけではありません。どこまでの瑕疵に対して告知するのかなどの部分は、不動産会社や売主に委ねられます。そのため、買主側は知っておきたいといった内容でも、売主側の判断により告知されないといったケースも少なくありません。

告知義務に該当しない場合

反対に、住む人の安全性に影響を及ぼさない、買主の購入判断に影響を及ぼさないと判断されるような内容であれば、告知義務に該当しないケースもあります。

心理的瑕疵物件は、2021年に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を設けています。そのため、ある程度は明確化されている点は安心です。

人が亡くなった場合でも、以下のようなケースであれば告知義務は発生しません。

1. 取引の対象となる物件で、自然死や日常生活中の不慮の事故死(転倒や誤嚥など)が発生した場合
2. 対象物件や日常的に使用する集合住宅の共用部分で、1に該当しない死や特殊清掃が必要な死が発生した場合。その後、概ね3年が経過していること
3. 対象物件の隣接住戸や普段は使用しない集合住宅の共用部分で、1に該当しない死や、特殊清掃が行われる死が発生した場合

しかし、上記の場合でも、買主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合や事件性、周知性、社会に与えた影響等がとくに高い事案などは告げる必要があります。

告知義務の対象範囲には不透明なところがあるため、告知義務に関しては課題があります。

告知義務違反はどうなる?

告知義務違反を起こした場合は、不動産会社と売主に対して「契約不適合責任」を負わせることになります。契約不適合責任とは、物件を売却した後に瑕疵が判明した場合、売り主は買い主からの損害賠償請求や契約解除の申し出などに応じる責任を負う必要があることです。

告知義務違反に対する賠償金は大きいため、売主は告知に対して慎重に判断しなければいけません。また、買主から聞かれた場合には理由なども明確に答える必要があります。

まとめ

訳あり物件とは、居住するにあたって問題を抱えている物件のことです。訳あり物件には物理的瑕疵物件や法的瑕疵物件など種類があり、買主が購入への判断に影響を及ぼす内容は、告知義務が発生します。

瑕疵内容によっては、改修などによって解消されるものもあります。解消可能なものは、対策することで物件の価値を上げることが可能です。しかし、改修できない瑕疵もあるため、売却の場合は、業者に依頼するのがおすすめです。

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